福島県教育センター所報ふくしま No.95(H02/1990.6) -030/038page

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 (2) 検証と考察

 1.検証の観点…………………(略)

 2.授業の考察

 ア 学習ノート「追究の旅」の活用は,問題解決学習の一連の流れがわかり,学習の仕方を育てるのに有効であった。

 イ 学習ノート「追究の旅」の中に,ひとり追究と集団による追究の場を設け,その相互交流をはかったことは,多様な見方・考え方をひき出し,追究意欲の向上につながっていった。

 ウ 共通課題の枠にはまらない個の課題(問い,こだわり)の追究を保障したことは,歴史学習に対するひとりひとりの興味関心を高め,意欲を持続させる意味で大変良かった。

 工 地域教材の自作資料を効果的に活用することによって,すすんで調べ,自らの足で動き出す児童もいて,学習意欲の向上を促すことができた。そして,社会的事象の意味を自らとのかかわりでとらえることができる児童に育ってきた。

 3.事前・事後調査の結果

 ア 自己評価による,課題解決学習に対する意識の変容調査の結果。……(略)

 4.結果の考察

 ア 問題解決学習についての意識調査の結果,どの項目も検証前よりも伸びてきた。歴史学習に対する興味関心も増し,追究意欲も向上してきて,課題が連続するようになってきた。

 イ 学習ノート「追究の旅」の使用については,7割以上の児童が良かったと判断している。学習方法が一貫して分かりやすいということと,ひとり学習 と集団学習の相互交流によってよりおもしろい追究ができるということに魅力を感じている。これに対し,2割の児童が規制を受けて書きづらいと答えている。上位児童に多い。このノートをすべての授業で使うことには問題があろう。

 ウ 地域教材は,歴史的事象を自らのうちにひきこんで心を寄せてアフローチしていけるようにするために取り上げたが,全員の児童がおもしろかったと答えている。身近で意昧ある教材ほど,児童の追究意欲をかきたて,授業後も追究しつづけていく。

 工 地域教材をはじめとして,生き方がまとわりつく教材を示すことによって,歴史的事象との時間的・意識的なへだたりを超え,わが身にさし迫る問題として追究する児童が多くなってきた。自らの考えを注入したり,自らの生き方をみつめなおしたりしていく深まりと広がりのみられる感想が多くなってきた。

 (3) 結論

 1.学習ノート「追究の旅」について,小単元を通して継続的に使用してきた結果,その有効性が確かめられた。ただ,マンネリ化して束縛を感じることのないよう,常に工夫改善をはかるとともに学習方法が身についてきた段階で使用を控えることも考えなければならない。

 2.地域教材に対する意識調査の結果から判断して,身近で,しかも生き方がまとわりついている教材の活用は,自らとより深いかかわりを持たせて追究させるのに有効であった。


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