福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -001/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

(巻頭言)


授業で若き教師を育てる

授業で若き教師を育てる

次長 三津間 安 宏




先日、福大附属小・中・養護の学校公開に出席しました。会場は若い先生で溢れていました。立派な授業でし.た。「何が、立派な授業なのか、この発問はどうして生まれたのか、あの活動はなぜ必要であったのか、本時のねらいに対して学力の保障をと'うしたか、等授業構築の基本について十分に説明してやってください」。そうお願いして帰ってきました。
といいますのは、当教育センターで実施している初任研・5年研の受講反省記録にも、「授業がうまくいかない。子どもの掌握が難しい」という悩みや、「だから講義より演習を、授業参観を通して具体的な指導を」という要望が多いことからです。ある調査で、若い先生方が回答した自己課題ベスト5は、第1位がが授業づくりの力、以下子どもを受容し、理解する力、学習集団」を組織する力、職場の人間関係づくり、授業における話術であったと報告されていましたが、この「授業をどうするか」は、最大の関心ごとてあり、ましてや大きく変ぼうする児童生徒を前にして、指導法の多様化をせ'まられる現状にあっては、意欲や情熱ではどうしようもない切実な問題でもあろうと思われるからてす。
ところで、現在「福島県教職員現職教育計画」に基づき、県教委・各学校あげて教員研修に力を.入れていますが、各学校において、この「若き教師を育てるという視点からみた授業充実にかかわる研修プログラム・組織・体制についてはどうなっているでしょうか。もちろん、一人前といわれる教師の資質・力量は、1.教育愛、教育公務員としての態度、使命観など、2.教授力量(教育課程、教授技術方法、教育評価など)、3.生徒指導の力量(教科指導、進路指導、教育相談など)、4.組繊的力量(教科、,学級・学年・学校経営能力、事務処理能力など)、5.人間的魅力(幅広い教養、人間愛など)等と考えられますから、このことを研修プログラムに盛り込むことは必要です。しかし,若き教師を育てるという視点からみれば、「教師は授業で勝負する」といわれるそのことを、先輩が貝体的に、できれば自分の授業をみせ説明し、あるときは共に指導案をつくり指導交換をすること等によって、綬業の腕を上げる力量を伝授する。またそのための校内体制・職.員態勢を整備する。このことが最重点課題ではないかと思えるのです。
「現代の学校は社会状況の変ぼうと共に、教帥の牛活行動の範囲も広まり、考え方も多様化している。かつての先輩が後輩を授業で厳しく指導し、後輩はそれを謙虚に学ぶといった気風は薄れ、個人中心の生き方が強まっている」といわれるときだけに、この育てる」ということにっいて改めて考えさせられるのです。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。