福島県教育センター所報ふくしま No.96(H02/1990.8) -035/038page
プロジェクト研究報告
情報活用能力の育成に関する研究
一第2年次ー
科学技術教育部
本研究は、来るべき高度情報社会を想定して、最終到達目標を「高度情報社会に対応できる心豊かで創造的な人問の育成」におき、昭和63年2月から2年計画によりスタートした。研究の第2年次は、第1年次の研究成果を基に、評定尺度I・II(情報活用能力の育成状態を評定する尺度)を構成する目標要素の概念規定と文言の補説、教育実践内容の焦点化,実践に即した育成プロセスの作成等を行うとともに、研究協力校(小・中・高校各2校)における実践的研究を通しで情報活用能力の育成の在り方を追求した。研究実践の結果をまとめると次のようになる。
(1) 小学校低学年の7割〜8割、高学年の9割はファミコンを使っており、視覚情報の処理体験は学年が進むにつれて増加している。このため、事前調査では小・中・高校のいずれも「情報化社会の特質への認識」が4以上(5段階評価)と高かった。
(2) 事後調査では、小・中・高校ともに「操作」の要素が大きく向上し、短期間で育成可能であることが分かったが、その他の要素についてはわずかな向上に留まっており、今後も多くの機会と長期にわたる指導が必要である。また、「情報モラル」については発達段階に応じた意図的な細かい指導が効果的であった。(紀要第80号参照)事例を通した教育相談の進め方に関する研究
ー予防的な指導援助ー
(第2年次)
教育相談部
昭和63年度と平成元年度の2ケ年にわたり、教育相談における「予防的な指導援助のあり方」について追究した。その過程で「予防的な指導援助の要点」を次の12項目に集約した。
1. 指導援助者の姿勢 2. 子供についての理解
3. 問題行動についての理解 4. 問題点の気づき
5. ラポールの形成 6. 資料収集・予測診断・予防仮説
7. 本人への予防援助 8. 家族への予防援助
9. 学級全体への予防援助 10.予防体制
11. フィードバック 12. 予防援助の終了
さらに、これらの各項目ごとに、具体的対応やその対応例などを含め「手引」の形にまとめた。
この研究から明らかになったこと。
1. 上記の12の要点に基づく対応は、問題行動の予防に有効であった。
2. 本研究の中で同時に提示した調査、検査の望ましい活用のあり方は、予防的な指導援助を必要とする児童生徒の把握と指導援助の効果を確かめるのに役立つものであった。
3. 一人の児童生徒への予防的な指導援助は、他の児童生徒の問題行動を予防するための意義づけにもなった。○詳しくは研究紀要第79・80号参照。