福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -036/038page

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「指導に役立つ評価の在り方とその数値処理の仕方」のために

科学技術教育部   八 島 喜 一

新しいテスト問題作成法

池 田 央 著

 評定のための評価ばかりでなく、指導に役立つような評価をどのようにしたらよいか、についてやさしく解説している。

 初版本は約十年前の昭和55年であるが、「コンピュータ時代のテスト」を第一章に設け、答え甲斐のあるテストを作成すべしと、先見的に読者に訴えている。

 今やCAIたけなわである。回策肢の説定の段階で、子どもの思考をフォローしきれずに苦慮しているとか、自作教材ソフトが、目の前にいる子どもの輿味や関心に必ずしも即応していないと感じている先生には、かなりの示唆が得られると思う。

 新学習指導要領の実施に伴う指導要録の改訂においては、子どもの関心や意欲に支えられてはじめて思考などを伴う学習活動が成立し、技能が高まり、その結果、知識・理解が身に付くという重層構造的な学力評価観に基づくようである。教師は子どもの情意面を把握し、多面的な思考を分析しながら、授業を設計し実践しなければならなくなってくる。その意味からも、少なからず示唆が得られるに違いない。



教師のための統計法入問

岩井勇児・鈴木真雄 著

 子どもの興味や関心、態度等を測定し、得点化したのはよいが、その数値にはいったいどんな意味があるのか、はたまたアンケートを実施したのはよいが、どういう数値処理をしたらよいかという悩みや問題に具体例を挙げて答えている。

 諸調査の結果の数値の読み方、特に差異の解釈ほど難しいものはない。学校教育現場であればなおさらで、数値がわずかに上下しただけで一喜一憂する。また、選択肢で足し算ができない数、例えば、1父、2母、3長男、4長女の場合に、回答番号の平均を算出するという「うっかり」の誤りをしてしまう場合も起こり得る。このような数値処理の仕方について、『測定値には名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比率尺度があり、それぞれに適切な数値処度法がある。相関関係にしても、名義尺度の場合にはr(相関係数)でなく、φ係数を求めて考察する。』などと、親切に解説している。

 数値処理はパソコンの最も得意とするところであり、数値処理を行う場合には、本書と共にパソコン活用にも伴せて勧めたい。


編集後記
 早いもので平成2年度も終ろうとしています。忙しい中にご寄稿下さった方々、愛読していただいた先生方に、心より御礼を申し上げます。次年度もよろしくお願い致します。

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