福島県教育センター所報ふくしま No.99(H03/1991.6) -027/038page

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研修者研究報告


発想を豊かにし、材料の造形的可能性を
見つける力を伸ばす指導


造形遊びを通して


相馬市立中村第二小学校教諭   林  寿 恵


1.研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
  低学年の児童をみていると、絵を描いたり粘土で造ったりすることが大好きであるが、その活動の様子や表現内容は、概念的なものや指先だけで造る萎縮したものが多い。
 また、中学生でも、「図工の学習は好きだが、何をどう表したらよいかわからない。」などの迷いがみられる。 これらのことから、児童のなかに、感動・発想・主題性の乏しさや、教師の指示を待たなければ進んで造形活動に取り組むことができないなどの問題点のあることが伺える。
 この一因として、「造形遊び」の学習等で、遊びを通して教材と全身でかかわることや、自由な発想で楽しむことの児童への意識づけが弱かったのではないかということが考えられる。
 そこで、「造形遊び」の指導では、教師がねらいを明確に持ち、児童の伸び伸びとした活動を見守ったり、計画的に心を耕したりしながら、造形活動の基盤となる力を育てていくことが大切であると考え、本主題を設定した。
(2) 問題点
1. 感動体験が少ないので、表現主題や意図がはっきりせず、自由で創造的な表現に結びつきにくい。
2. 発想やイメージの広がりが少なく、友達に左右され、模倣が多い。
3. 材料の特性を見つけ出し、それを造形活動で生かしきれていない。
(3) 原因
1. 日常生活の中で、材料体験や題材との感動的な出会いが少ないので、意識が弱く、自分なりの想いをまとめて表現に生かせない。
2. 教師の指導のねらいに合わせた材料や題材の掘り下げが不十分であり、また、効果的な場の設定や指導の工夫なども足りなかった。
3. 教師の指導意図が強すぎて、児童の自由な発想への妨げがみられた。

2. 研究仮説
(1) 仮説
 「造形遊び」の指導において、指導のねらいを明確にして、材料への関心が高まるように題材設定をし、活動の環境づくりをすれば、児童が自分なりに遊びを工夫し発想が豊かになり、材料の持つ造形的な可能性を見つける活動ができるであろう。


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