福島県教育センター所報ふくしま No.105(H04/1992.11) -001/038page

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佐藤昌志

巻 頭 言

学 力 向 上 雑 感(学校週5日制実施に関し)

(財)福島県文化センター館長  佐 藤 昌 志


 9月12日,初の学校週5日制のスタートとテレビはもとより,新聞各社の紙面も連日この問題について大賑わいをみせていた。学校週5日制は従来の制度を変え,父母に直接影響を与えるものだけに賛否両論が渦まき,その中で国民の理解を得つつ実施に踏みきった文部省を始め関係教育機関のご努力に敬意を表するものである。
 今回の措置は,とりあえず毎月の第2土曜日を休業日とするものであるが,将来の完全実施を目標とする第一歩と考えられよう。そして土曜日の授業内容と授業時数の確保については,現行学習指導要領に従い,教育水準の維持を図ることを前提としておるがゆえに,今後の各学校の創意・工夫とその努力に侯つところ大と言わざるを得ない。
 このことに関し,私が教育界特に教育センターに期待したい所見を若干のべてみると,そのIは中学校の特定教科(英語・数学等)の基礎・基本を教科研究の中である程度特定し,各学校に指導資料として示すことができないかということである。教育課程の精選,基礎・基本の重視とお題目はあっても,何が基礎・基本なのか,より具体的に,おおよその点で教員の共通理解を図る必要があると考えるからである。そのIIは「わかる授業の展開」についてである。基礎・基本の定着を図るためには,当然わかり易い授業を展開することになろう。「わかり易い授業」と言葉は簡単であるが,多様な生徒をかかえ,直接指導にあたる学校現場は容易ではあるまい。年間の授業日数を基とした指導計画により進めるものの,臨時の行事等にとられ,如何にその時数を確保するかに頭を痛めているのが教員の実態と思うからである。そのため,わかり易い授業展開の補助資料として(教科によっては実験・観察を中心とした,勿論,地域教材をも含めて)英知を集めコンピューターのソフト等の新しい教材の開発研究に努力していただければと希望する次第である。その皿は,到達度の測定についてである。生徒がどの程度その教科の基礎・基本について理解したか,その結果を測定することは当然必要な教育活動である。現在教育センターで一部の教科について問題を作成し実施しているときいているが参加学校数は少ないようである。とりあえず中学校の特定教科でよい。全市町村教育委員会指導の下に全校生が参加することが望まれよう。そしてそれは過去の全国一斉学力調査ではなく,本県独自の到達度調査の実施とそれに基づく改善策によって本県中等教育の学力の向上がはかられると考えるからである。そして,これらの課題解決は単に教育センターのみでできうるものではなく,県教育庁中心に教育界あげての理解協力がなければならないことはいうまでもない。


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