福島県教育センター所報ふくしま No.105(H04/1992.11) -002/038page
特別寄稿 (論説)
変革期の学校と教育課程経営の課題 国立教育研究所企画調整部連絡協力室長 高 階 玲 治
変わる教育のパラダイム
わが国において,1980年代から今日まで様々な教育改革が提案され続けている。周知のように,第13期中央教育審議会,臨時教育審議会,教育課程審議会,そして再び第14期中央教育審議会,大学審議会などである。こう並べてみると,ここ10数年は「教育改革の時代」として大きなエポックを形成してきたと言えるであろう。さらに,教育改革の提案内容を検討すると,これまでの教育とは違う姿が浮かび上がってくる。その姿はまさにパラダイム(モデル,枠組み)の変革と言えるものである。そこで,「これまでの教育」と「これからの教育」をイメージ化してみると次の図のようになる。但し,これは単純ではない。様々な教育課題が錯綜し,複合化しているからである。
そして,極めて重視すべきことは次のことである。つまり,「これからの教育」のイメージは,数年前までは教育課題として存在していても,その解決はまだまだ手の届かない感じのものであった。たとえ解決できそうであっても,部分的あるいは断片的であって,学校教育の総体としてのイメージがしにくかった。それがようやく身近な課題として,解決可能なあるいは実現可
図1 学校教育の変革
これまでの教育
1.国としての教育課程編成基準の重視
2.義務教育や高校までに完結する国民教育
3.効率化を求める画一的な教育
4.教師主導による教育
5.知識偏重の教育
6.惰報受容型の教育
7.同質性のみの受容
8.一元的評価と序列化
9.決められたスペースの教室
10.閉システムとしての学校これからの教育
各学校で編成する教育課程の重視
生涯学習の基礎としての学校教育
学習の多様化による個性を生かす教育
自己教育力の育成重視
知・徳・体の基礎・基本の徹底
情報活用能力の育成重視
異質性・異文化の積極的受容
多元的評価による個の可能性の伸長
オープンで柔軟に組織できる学習の場
開かれた学校の推進