福島県教育センター所報ふくしま No.105(H04/1992.11) -021/038page
所員個人研究
不登校要因の抑制に関する研究
- 系統的脱感作法を用いて-教育相談部 渡 邊 和 夫
1. 趣 旨
最近,不登校の子供は増加の傾向にある。これら不登校の要因は様々であるが,その中でも,過剰に不安を抱きやすい性格特性から対人関係がうまくいかないという例が大変多くみられる。
不登校が顕在化した時点では,改善に多くの時間とエネルギーが必要とされる。教師は,過剰な不安をかかえている子供を早期に発見し,不安を軽減させ,子供が学級内でよりよい人間関係がつくれるよう積極的に指導援助を行う必要がある。
そこで,過剰に不安を抱き不登校に陥ることが懸念される子供に対して,不安を軽減するために有効な系統的脱感作法を活用した指導援助の在り方について,研究協力学級での実践を通して研究することにした。2. 研究の構想
3. 系統的脱感作法とは
系統的脱感作法とは,「人はくつろぐことと不安をつのらせることとを同時には経験できないという相互制止の原理」に基づいて,不安を軽減させる技法である。
不安が生起される場面は,様々であり刺激の度合いも違う。場面ごとにどの程度の不安反応を示すかを本人に主観的に数量化させる。不安を抱く人に,筋肉を弛緩する訓練で心身をくつろがせる拮抗反応を教え,これを実行させながら,不安が生起される場面に段階的・系統的に直面させて,イメージを思い浮かばせ,次第に不安の生起を減らしていく手順をとる。
その結果,数量化された不安が減っていくことが自覚され,行動にも自信を持てるようになってくる。