福島県教育センター所報ふくしま No.105(H04/1992.11) -022/038page

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4. 研究の実際と考察

[Y子(小5)への指導援助]
(1)主訴対人不安傾向

(2)資料

主訴対人不安傾向 資料
(3)診断
 否定的な自己像を持ち,内向的な性格から対人関係がうまくいかず過剰な不安傾向を示していると思われる。
(4)仮説
 対人不安傾向のY子に担任が次のような視点から援助を行えば,対人不安が解消され,肯定的な自己像を持ち積極的に周りにかかわっていくであろう。

 1.面接の場で系統的脱感作法を活用し,不安を解消させる。
 2.不安が減少していく様子を数量化して示し,本人の努力をほめ,自信をつけさせる。
 3.本人の活躍する場を意図的につくり,周りから認められる機会を与える。

(5)指導援助の過程
 Y子との面接。本人の訴えに耳を傾け,不安をとらえる。その不安は解消できるものであり,担任は不安解消を援助したいと思っていることを伝える。Y子は,放課後,脱感作法を行うことに同意した。
 Y子と面接し,不安を感じる場面をカードに書かせて不安階層表を作成した。

不安階層表
No  場 面  SDU
なんとなく1人でいる 10
班活動になぜてもらえないと考えている 50
みんなから嫌われているのかなと思う 100

SUD :自覚障害単位
 (subjectiv unit of disturbance)本人の主観点な不安尺度である。

 それとともに,自律訓練法の練習を継続して行い,その習得を図った。
 セッションIで行った不安感の減少の一部を次に述べる。

○不安反応の軽減。−セッションI−
担任: ・・・・・・・
軽く目を閉じます。「2.班活動にまぜてもらえないと考えている」時を思い出してごらん。…思い出しているうちにどんな気持ちになりましたか。
Y子: とても悲しい。
担任: SUDでいくつぐらいかな。
Y子: 50ぐらいです。
担任: 50ぐらいね。では,リラックスする練習をしてみようね。(目律訓練法の標準練習を実施)(数分後)
担任: 不安はどうなったかな。SUDではいくつぐらいかな。
Y子: 40ぐらいです。
担任: 40ぐらいね。はい,目を開けていいですよ。(数回繰り返して実施。その結果,SUDが30に減少した)
・・・・・・・

脱感作法を継続して定期的に行っていったことにより,各セッションで次第に不安反応の減少がみられていった。


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