福島県教育センター所報ふくしま No.105(H04/1992.11) -028/038page
無気カ傾向から不登校となった生徒への指導援助
1.はじめに
中学2年のC男は,遊び友達も少なく,内気でおとなしい生徒である。
中1のころは,週に1〜2日程度の欠席であったが,中2の5月初めからは,全く登校しなくなった。
このC男に対し,学級担任(美術担当)は,ラポールを図りながら,長期的・短期的目標を持たせ,絵の好きなC男の特性を生かした指導・援助を行った。その結果,C男は少しずつ意欲を回復し,ときどき保健室登校をするようになった。2.問題の概要
学校では
中1の時は,同じ小学校から来た友達が,C男を支えてくれたため長欠にならずにすんだ。
中2の組み替え後,級友の中に入っていけず,一人でいることが多くなった。4月に実施したY-G性格検査ではE型(不安)を示している。
家庭では
中1のころは,登校していたが,朝になると腹痛や頭痛を訴え,週に1〜2回休むことがあった。
中2の5月ごろからは,自室に閉じこもり,友達や担任に会うのも避けるようになった3.C男のプロフィール
(1)家庭環境
(2)生育歴
・正常分娩3650g
・3歳時検診異常なし
・家の中で母と二人で過ごした。絵が好きでよく描いていた。
・幼稚園のころより一人遊びが多い。
・行動が遅くいやになるとすぐにあきらめて投げ出す。
・学力は,学級で中程度である。
(3)友人関係
・幼稚園のころから遊びの中に入っていけず親や教師のかげにいた。
・小学生のころは友達の家に遊びに行くことは少なく,室内で遊んでいた。
・中学生になってからは,声をかけてくれる友人2人と話すぐらいである。