福島県教育センター所報ふくしま No.106(H05/1993.3) -015/038page
この方法で干渉模様を見ることはなかなか難しい。しかしそのためかえって,干渉模様がどういう条件のときに見られるかを考えさせるきっかけができる。
(5) 昔のドップラー効果
1. 図5のように,携帯用防犯ブザーを持ったAが,それを鳴らしながら走って,静止しているBの前を通過する。Bは通過する前後の音の高さの変化を聞く。
2. 逆に,静止したBがブザーを持ち,その前をかけ足や自転車で通過しながら,ブザーの音を聞く。
3. 2台の自転車ですれちがいながら,相手が鳴らす自転車のベルの音を聞く。音源や観測者の速さがそれほど大きくなくとも,音の高さの変化がよく分かる。3.まとめ
(1)よかった点
1. 生徒はのびのびと楽しそうに取り組んだ。
2. 自分であるいは自分たちで,やったという満足感をもった。
3. 徒間での議論が,自然にしかも活発に行われた。
4. その後に行う教室での授業に関心を示すようになった。
(2)反省点
1. 緊張感がなくなり,実験が遊びに終わる心配があるので,初めに実験の目的を明確にしておく必要がある。
2. 班の編成や役割分担などを工夫して,全生徒が参加できるようにする。
3. 測定誤差があまり大きすぎると生徒に誤解や不信感を与える心配があるので,事前に測定方法やデータの処理の仕方などをよく吟味しておく。
4. 生徒の安全には十分に配慮する。4.おわりに
野外で物理の授業を行うことの最大の利点は狭い教室とは雰囲気が一変することである。教室から解放されて生徒は実に生き生きとしている。リラックスして楽しそうに,しかも積極的に実験に取り組む。自分が主役になって,あるがままの自然を調べているという実感は,生徒の探究心を駆り立てるのに大変効果的に働く。測定の精度の面など,室内での実験に比べて多少の問題はあるが,こういう体験を経てこそ,人為的に条件を整え,純粋な現象だけが現れるように行う,本来の実験という方法の怠義も理解できよう。
ときには屋外に出て授業をするのも楽しいものである。屋外も格好の物理の実験室である。