福島県教育センター所報ふくしま No.108(H05/1993.8) -036/038page
2. T・Tの授業形態から
国語科でのT・Tの学習は初めての試みであった。当初多少の不安も見られたが,すぐに興味を示し学習することができた。事後におけるT・Tの学習についての調査でも「おもしろい・満足であった」との解答が多かった。児童が今までの受動的姿勢でなく,学習に能動的に働きかけるという点において,児童にとって満昆のいくものであったと考えられる。また,教師の側においても,ポイントを絞り効率的に援助しやすいという点において有効性は高いと考える。(●資料4)
3. 説明的文章に対する意識の変化から
事後の意識変化の調査結果からも,児童の説明的文章に対する関心の高まりが見られた。その原因として,以下の三点を考える。
ア 児童が学習方法を獲得し,自力解決ができるようになったこと。
イ 学習方法を児童に選択させることにより,意欲づけが図られたこと。
ウ 学習形態が変化したことにより,自分のぺ一スで学習に能動的に取り組むことができるようになったこと。
以上の結果からも,仮説の有効性がうかがわれる。(●資料5)
4. 研究のまとめと今後の課題
(1) 研究のまとめ
1. 児童の興味・関心・能力に応じて,学習方法を選択させることにより,児童の学習意欲が高まり,主体的に読み取っていこうとする姿が見られるようになった。また,いろいろな方法の良さを見つけ学習方法に広がりがもてるようになった。
2. 児童に言葉を大切に扱おうとする姿が見られるようになり,重要語旬を判別する能力にも高まりが見られる。また,要約文や要旨を書くことに抵抗を持つ児童も多かったが,文図の学習を通して抵抗なく書いていこうとする児童が増えてきた。
3. T・Tの授業形態により学習空間に広がりがもてるようになった。下位の児童も掲示物・資料を活用しながら活動し,受動的な学習から能動的な学習へと移行してきた。
(2) 今後の課題
「児童の実態をどうとらえるか。」「実態に応じた個への対応をどう進めるのか。」また「T・Tの形態をどの単元の,どの時間に採用すれば効果的か。」「児童の感性に訴え,新たな驚きや発見を与える説明的文章の指導はどうあればよいか。」など更に研究を進めていきたい。