福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -009/038page
所員個人研究
技術・家庭科「情報基礎」領域の制御に関する教材開発
科学技術教育部 技術・家庭教育係 片 寄 信
1.はじめに
中学校技術・家庭科の新設領域である「情報基礎」は,コンピュータの操作等を通して,その役割と機能について理解させ,情報を適切に活用する基礎的な能力を養うことを目標とし,指導項目は(1)コンピュータの仕組み,(2)コンピュータの基本操作と簡単なプログラムの作成,(3)コンピュータの利用,(4)日常生活や産業の中で情報やコンピュータが果たしている役割と影響となっている。
ここで,コンピュータの機能の一つである,「制御」については,ファクトリオートメーション(FA)が指導項目(3)「コンピュータの利用」で取り扱うが概念の理解までは触れられていない。そのため,「制御」の教材を開発し,生徒の体験的な活動を通して基本的な概念を理解させたいと考えた。
そこで,発光ダイオードやブザー,モーターなどの身近なものを,パソコンで制御する簡易な制御教材を開発することにした。2.本研究の制御に関する理論
(1)制御のシステム
BASIC言語により,プリンタインターフェースを介して発光ダイオード・ブザー・モーターを制御する。
(2)トランジスタのスイッチング回路
図1のように,VinによってR2にIbが流れた時のみ,R1にIが流れるというスイッチング作用を利用する。
図1 トランジスタのスイッチング回路
(3)セントロニクスインターフェース
パソコンからの制御の信号は,プリンタ端子から出力されるが,プリンタに接続されているコネクタやケーブルのプラグはセントロニクスインターフェースに準拠している。
このインターフェースは,アメリカのセントロニクス社が自社のプリンタ用に開発したインターフェースである。
(4)プリンタの出力制御命令と2進数
コンピュータのBASIC言語のOUT命令によって作業の指示を行う。
OUT 出力アドレス,出力データ
出力アドレスに出力データを出力しなさいという内容の命令である。出力アドレスは,コンピュータの機種により異なり,本研究ではPC98を用いたので,10進数で64とした。出力アドレスやデータは,通常16進数表示を用いるが,本研究では10進数表示で行った。
制御データは,信号が出力する部分を2