福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -035/038page

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“p.m.”に関しては「何の略か」と問い,ラテン語を書かせたために正答率は低かったが,意味と使い方(時刻を表わす数字の前ではなく後に置くということ)は全員に定着させることができた。

4.まとめ

(1)仮説の有効性

上記のように,検証授業の結果と各テストの結果から,「単語調べノート」を利用した授業は生徒の興味・関心を高め,成就感を味わわせることができたと思われる。また,外来語・語源・略語・派生語などに関する情報を与えられるのではなく,自分で調べることによって,単語を印象づけて覚えることは語彙の習得において効果的であったといえる。
研究対象とした3年8組の生徒(48名)の語彙力間題に対する意識の変容は次のとおりである。

得意/td> やや得意 ふつう やや不得意 不得意
6月調査 3名(6%) 3名(6%) 6名(13%) 17名(36%) 19名
11月調査 5名(10%) 8名(17%) 15名(31%) 13名(27%) 7名(15%)

また,模擬試験(進研模試)における語彙に関する問題(語集,語法,音声)の解決力も次のように伸ぴてきた。

[数字は平均得点率,( )内は問題全体]
3年8組平均 本校平均 全国平均
6月実施 42.9%(44.0) 42.1%(43.1) 41.6%(41.3)
11月実施 55.6%(55.9) 52.4%(54.8) 49.9%(52.9)

次上のことから,仮説は有効であったと認められる。

(2)検証上の問題点と今後の課題

事前テストなどの問題をすべて,綴りを書かせる形式にしたが,recognition段階の単語とproduction段階の単語を分けて出題するなど,問題をもっと吟味すべきであった。また,クラス全体としての変容は見ることができたが,生徒一人ひとりの変容までは把握できなかったので,せめて成績上位,中位,下位の3名くらいを抽出して観察,追跡調査できれば.検証に役立ったかも知れない。
今後の課題としては,「3年生よりもっと早い時期からの長期計画のもとでの実施」「ノートを提出させるなど,全員に対する評価方法の研究」「成績下位者でもできるだけ短時間で調べられるような効果的な方法の研究」などが挙げられる。

※参考文献

1. 英語の学習意欲(大修館書店)

2. 授業研究のすすめ方(福島県教育委員会)


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