福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -034/038page
は普段使用している英和辞典だけでは物足りず,語源辞典や外来語辞典,更には百科事典まで調ベ,こちらが予想した以上の内容を調べてくる生徒も出てきた。
(2)検証授業からの考察
このノ−トを導入する前は,単語の意味だけを調べてくる生徒がほとんどで,下を向いて受け身の姿勢で授業に臨む生徒が多かったが,導入後は調べてきた内容を発表したいという表情を顔に表わし,顔を上げて授業を聞く生徒が多くなり,授業に活気が出てきた。更に,成績下位の生徒も積極的に発表するようになったのが特徴的である。その結果,全体として語彙に対する問題意識が高まり,語彙の学習に意欲的に取り組むようになった。
(3)アンケート調査からの考察
検証授業の前後に[資料1]のような調査を行ったが,この結果からも生徒は語彙の学習に積極的な姿勢で取り組むようになった様子がうかがえる。
[資料1]授業における「新出語句」の学習についての調査(授業前→授業後,人数)
大変 かなり 少し あまり〜ない 全然〜ない 平均 5 4 3 2 1 授業前 授業後 変容 分かり易い 2→6 20→22 12→16 9→4 5→0 3.1 3.6 +0.5 覚え易い 1→5 7→20 22→15 15→8 3→0 2.8 3.5 +0.7 面白い 0→5 15→15 19→22 11→6 3→0 3.0 3.4 +0.4 役に立つ 1→9 17→20 18→15 10→4 2→0 3.1 3.7 +0.6 やりがいがある 1→11 15→16 20→11 11→10 1→0 3.1 3.6 +0.5 *授業後の生徒の感想から
・調べるのが大変だったが,意味だけでなく色々なことが分かって面白かった。
・略語が元はどういう語だったのかが分かると,納得できて印象に残った。
・語源が分かると単語の意味が想像できて覚え易く,ためになった。
・幼稚園のとき,トロットステップというお遊戯を習ったが,12年後の今,意味が分かった。
・今までは機械的に覚えようと苦労していたが,この方法なら覚え易い。
・時間はかかるが,派生語を調べると単語力が増えるし,早く覚えられた。
・単語の成り立ちを知り,その背景や文化まで垣間見ることができた。
・家に帰っても,PKFやCO-OPは何の略だと言いながら,家族で楽しみました。
・辞書を詳しく見るようになった。p.m.の使い方を知った時はショック!
・時間がもっとある時(1,2年の頃)に,こういうことをやりたかった。
・私の辞書には語源があまり詳しく載ってなくて,十分に調べられなかった。特に,検証授業前の調査に比べ,「覚えやすい」「役に立つ」と思っている生徒の増え方が大きく,また,他の項目もすべて伸びており,語彙の学習に対する生徒の意識の変容を読み取ることができる。
(4)テスト結果からの考察
事前,事後,把持,それぞれのテストの結果は[資料2]のとおりである。
[資料2]事前,事後,把持テストの結果(事前(点線)事後(細実線)把持(太実線))
8問とも綴りを書かせる問題だったので,事後テストでは思ったほど正答率が高くなく,有効度指数も伸びなかった。しかし,追指導の結果,10日後に行った把持テストの正答率は1つを除いて事後テストよりも高くなり,把持率も92〜100%となった。なお,