福島県教育センター所報ふくしま No.111(H06/1994.6) -001/038page

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(巻頭言)

所  長  永  山  三  郎

教育センターの今日的使命と教育課題ヘの具体的取り組み




所 長 永 山 三 郎




「学力向上へ教師も勉強,小中校で3教科に研究部会」「東北大本県勢,振るわず」「学力向上に強力布陣,中高一貫指導」「県勢の大学入試分析,学力向上へ打開策必要」等の大見出し記事が3・4月の新聞に掲載された。また4月6日からは「福島の学力,低迷続く大学進学」が掲載されている。ここ数年この様な記事により大学進学の推進や学力向上の問題が提起されてきた。それらに応え平成4年度から地域連携による小中学校教育ネットワークプランや,高校の学力向上ステップアッププラン等により学力向上を目指した実践研究が行われてきた。新妻威男教育長の就任あいさつの中にも緊急の具体的な教育課題として,特に1.中学校の進路指導の改善及び高校教育の在り方の検討,2.高校入試の改善,3.児童生徒の学力向上,4.学校不適応の解消,5.国体の競技力向上の5点をあげており,学習指導については児童生徒の学力の向上への努力を強調している。

このような状況を見るにつけ,本県の教育研究・教員研修機関としての役割を担っている教育センターが,これらの教育課題についての調査研究に積極的に取り組み,小中高校の教育活動の充実と向上を支援できるような方策を見つけ出す使命があると痛感してきた。

教育センターではこれら多方面からの社会的期待に応え,教育調査研究を具体的に推進するため,平成5年度には1.学力診断テスト研究開発プロジェクト,2.学力向上調査研究プロジェクト,3.教育情報ネットワーク調査研究プロジェクト,4.教育相談調査研究プロジェクトの4つの研究プロジェクトを新設し,実践的な調査研究に取り組んでいる。

学力診断テストの研究開発では,平成6年度小学5年,中学1・3年,平成7年度は小学4・6年,中学2年の国語,社会,算数・数学,理科,英語の5教科の診断テストを開発する。各種調査からみた本県学力の問題点,小中学生については,課題の処理力や発展的な思考力の基になる基礎力・基本的な学力の定着が不足していること,高校生については,入学時の学習到達度の不足と,卒業時において上位の生徒の伸長度は高いが,中位の生徒の伸長度が低く,特に数学と英語において顕著であるといわれている。このような状況からその対策として,基礎・基本の定着を図り個に応じた学習指導をすすめる必要があると考えられている。教育センターでは学力診断テストを用いて基礎学力の定着状況を調査分析し,この結果を本所の研修講座や各学校の学習指導改善の資料として活用したい。

私は教育センターの今日的使命を調査研究機能の充実と研究成果の普及を図ることと考え,広報誌「所報ふくしま」を魅力あるものとするため,これまでの定型化された編集から,適時適宣な特集を加えることとした。その第1号がこの「学力向上特集号」である。


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