福島県教育センター所報ふくしま No.111(H06/1994.6) -034/038page
V 検証授業の実際とその考察(1) 検証の観点
1. 実験やワークシートによる作業など五感を使う教材を取り入れたことにより,ベクトル量が理解できたかの意識調査を実施し,その変容をとらえる。
2. 事前・事後・把持テストを実施し,有効度指数,把持率等を求めることにより学習内容の理解や定着を調ベる。
(2) 指導の概要
1. シミュレーションの内容
ノートパソコンを大型テレビにつなぎ,市販のソフト(PSP社のイメージインストラクター)を使い,等速円運動の様子,単振動と等速円運動の関係,単振動の速度・加速度と時間の関係の指導に用いた。
2. ワークシートの構成と内容
ワークシートNo.1〜No.8を作成し,小単元ごと自己評価を取り入れ,生徒の状態を把握できるようにした。
(3) 資料(ワークシート)
(4) 結果の考察
事前・事後・把持テストの結果から有効度指数の平均85,把持率89であることから,学習内容の理解や定着は良かったといえる。
正答率変容のグラフ
○(細実線)事前テスト
●(太実線)事後テスト
●(点 線)把持テストVI 研究のまとめと今後の課題
第一学期の確認テストではべクトル量の分解・合成ができなかったが,五感を伴った教材を使用した後の同じ領域の把持テストではかなりの正答率がでた。このことからべクトル量の合成・分解の学習では五感を使った体験的運動を伴う教材を使用した指導が有効であると思われた。
これからは市版のソフトの利用だけではなく,自作によるソフトの開発とワークシートの内容の検討も必要であり,他の分野におけるべクトル量の合成・分解の指導法についても工夫していきたい。