福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -035/038page

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高 等 学 校 芸 術 科(音 楽)実 技 講 座

学 習 指 導 部


今年度の講師としてお迎えする,三善晃氏が本講座を開くにあたって寄せられた文章を紹介します。

<音の水脈と出遇う>
人は言葉によって世界を理解する。言葉によって世界を作り出す,とも言えよう。言葉こそ,人を人たらしめるものであろう。
それならば,人はなぜ歌うのか。
歌うとき,いや,歌いたくなるとき人の心は何を求めているのか。
一人一人の心の深部に,音の水脈が流れている。
いま私たちは,それを忘れていやしまいか。

音楽教育の現場ばかりでなく,私たちが忘れている心の在り方を見直そうとする文章ではないでしょうか。

今学校では,生徒たちが歌わなくなったという声が多く聞かれ,先生方の大きな悩みとなっています。

「高等学校芸術科(音楽)実技講座」は,長年にわたってその時々の本県の高等学校における音楽教育の課題に対応した内容を取り入れて講座を展開してまいりました。

本県は「合唱王国」と言われ,全国的に合唱活動の盛んな県として知られております。特に高等学校のレべルは高く,全国大会に出場した学校は延ベ14校を数え他県に類を見ません。この成果は長年自己研鑚を積んだべテランの先生方の努力に負うところが大きく,それに続く若い先生方の活曜が期待されており,合唱活動の底辺拡大も叫ばれております。

その声に少しでも応えるべく,本年度は合唱音楽の指導法を中心に,11月30日(水)〜12月2日(金)の三日間の講座を計画いたしました。

第一日目に,桐朋学園大学学長で作曲家の三善晃氏をお迎えして,「音楽教育の動向と展望」という題でご講義いただき,現在の音楽教育に対する問題点について質疑を交えてお話しいただき,学校での取り組み方について考えていきます。

第二日目は,日本における合唱指導では第一任者の,東邦音楽大学教授の渡辺三郎氏をお迎えして「ルネサンス期における合唱音楽の演奏解釈について」という題で合唱音楽の宝庫,合唱の源と言われるルネサンス期の音楽を実習を通してその指導法をご講義いただきます。


本講座を通して,各学校での合唱活動がますます盛んになり,本県の合唱がさらに発展していくことを願うところです。


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