福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -010/038page

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「調査」による児童生徒への視点

 教師が,「児童生徒の実態」というとき,それは児童生徒の一般的な実態と個別的な実態と二つの意味がある。そのどちらを欠いても,児童生徒理解に立つより適切な指導はできないことであろう。その意味で,発達心理的に変わらない部分と,時代や地域性によって変化している部分のそれぞれについて,具体的で明確な認識が求められていると言えよう。

 世阿弥の有名なことばに,「このころの稽古,易きところを花にあて,態をば大事にすべし」とある(「風姿花伝」)。十二,三歳の折りには,優れたところを‘花’として生かすかたわら,基礎をしっかりとかためよ,という意味である。現代で言えば,小学校高学年から中学生に対する指導の基本とも言えるであろう。

 もちろん,この時期の子どもたち一人一人を生かし,学習主体として自立させることは,容易なことではない。一人一人の真の姿を捉えて指導するというようなことは,生易しいことではないからである。しかし,我々教師が.どれほど学習や教材に対して研究や準備を進めたとしても,児童生徒の実態が的確に把握されていない限り,それが十分に生かされることはない。

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 昨年7月,本センターでは,本県の中学生の学習に対する意識と行動を探るために,県北地区の中学生543名(サンプリングの信頼度,92.4%)に対して,アンケート調査を実施した。

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 そのねらいは,生徒が普段,教科や授業,学習することなどに対して,どのような意識を持ち,どのように行動しているかを明らかにすることにあった。

 今回,「『調査』による児童生徒への視点」(福島市立北信中学校)として,この調査の結果を紹介したい。中学生についての調査であるが,小学校での学習課題の達成がその後の学習に微妙に影響していることにも,気づかれるであろう。


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