福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -009/038page

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らないという。その通りである。反対する 理由は何もない。しかし,学校の現場を考えると私は悩んでしまう。生徒指導に追わ れる中で,何か心に残る授業をと考えて工夫することと,目先の点数を上げることと を両立させることが,私には難しい。笑われてしまいそうだが・・・」             (中学校教員)

 この感想を書かれた方は,多分毎日の授業の中で相当な工夫をされていらっしゃるのだろう。行間から,普段の努力や悩みがにじみ出ているように感じられたものの一つだった。

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 また,次のような意見も寄せられた。

 「『センター試験』結果の分析も良いがその教科のどの領域が劣っているのか,分析したらどうだろうか。そして,その対応策を具体化できないものか。小・中・高等学校の全学年について調査と分析をして,対応マニュアルを作るといい」             (高校教員)

 教科の領域別の得点状況や評価の観点別達成度を見ていくような試みは,今後,大いに進めていって良いことかも知れない。本センターでも,小・中学校を対象とする「学力診断テスト」を作成中であり,学校ごとの分析にぜひ活用していただきたい。

 また,指導マニュアルも「学習指導の工夫」など,より−般的な形で作成することは可能であろう。

 基本的には,領域別・観点別達成度を見るときは,全県的分析というよりも学校別学級別に検討していくことが必要になろう。

 「他県で成功しているような方法を,広く紹介してもらいたい」 (中学校教員)

 現在,全国で16府県が「学力向上」に取り組んでいると言われる。しかし,多くの府県で「学力向上」の定式がなく悩んでいるのが現状である。

 この問題の難しさは,本質的な解決の基本が,生徒の実態,学校環境,地域性などさまざまな条件の下で,教師がそれぞれに応じた工夫と実技を試みていかねばならないことにあることであろう。公教育の本質を踏まえた指導が前提である。その意味で「『学力向上』は,教師がまず問題を認識することから」という言葉は,問題の核心を的確についているように考えられる。

 本県において「学力向上」への取り組みは大きな期待が寄せられている。そのためにも,本県の児童生徒の現状を正確に認識することから,学力向上の課題解決への第一歩が始まるのではないだろうか。


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