福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.120(H09/1997.2) -035/042page

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五箇条の御誓文」 のようにイメージの拡がりを感じさせるものが多かった。これは、ネームプレートを活用することによって生徒一人ひとりが授業の中で自己存在感を味わって『学ぼうとする力』を高め、結果として「学んで得た力」も身につけたことを示すものであると考える。

3 おわりに

実践後、授業者から次のような一文が寄せられた。

 (前略)ネームプレートの活用は、学級の一員である自他の存在に改めて気づかせ、互いに認め合い、励まし合う、そうした雰囲気を醸成する上で大変効果的な手立てであると思われる。(中略)普段おとなしい生徒が指名によって発表の機会を得、プレートを貼られて喜ぷ反省文もみられた。このネームプレートの活用は、教師の授業に望む姿勢を問うよいきっかけになった。

 今回の授業実践では、十分な教材の準備のもと、常に了どもの前で飾らずに自分を出す教師の姿勢が随所に見られた。この教師の姿勢が一人ひとりに安心感を与え、子どもの柔軟な自己表出を促した。教師が子どもの自己表出の一形態である「発表」を取り上げ、発言した子どものネームプレートを黒板に貼ることによって、子どもは 『なんか発表した!って感じがする。だれが発表したのか分かるので良かった』 (T男)と、感想に記している。

 教科の特質をふまえた授業で、子どもに知識や技能を身につけさせることは大切である。そのためにも、教師は子ども一人ひとりの内面に目を向けた授業を心がけたいと考える。

 今後、一人ひとりが自己存在感を味わうことで高めた『学ぼうとする力』をもとに、子どもが自ら学習内容をさらにふくらませていくことができるような授業づくりを探っていきたい。

【参考文献】
・全国教育研究所連盟編「新しい生徒指導の視座」ぎょうせい


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