福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -001/042page

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教育センター所長 安部哲夫 今だからこそ!! 心を揺さぶり、至福の瞬間(とき)を

教育センター所長 安 部 哲 夫
  



 教育センターでは、研修・研究の実際や各学校における教育実践の優れた内容を紹介するなどした「所報・ ふくしま『窓』」を年3回刊行しています。
 本年度は、中央教育審議会の動向や県教育委員会重点施策との関連を強化する観点から、「特別寄稿」として、 福島県教育委員長・杉原陸夫氏(124号)、玉川大学・江橋照雄氏(125号)、福島大学長・吉原泰助氏(126号) にお願いいたしました。また、特集として、「心が育つ場としての学校」をテーマに、校種を超えた先生方の 座談会を開催するとともに、学校の在り方に関する提案と実践例をシリーズで紹介するなど、教育の今日的な 課題の解決に役立つ内容を考えています。
 さて、いじめ、不登校、中途退学、学級崩壊、少子化、家庭・地域の教育力の問題など、急激な時代の潮流の 変化の中にあって、学校を取り巻く状況はいっそう困難さを増しつつあります。しかし、学校教育の果たす 役割は、いつの時代にあっても知・徳・体の均衡ある成長を促す生業(なりわい)にあり、児童生徒の持つ かけがえのない良さを看破し、個性を引き出す積極的な営みにあると言えます。
 この時にこそ、教師には、教科の専門性に圧倒的な力量を持ち、その上に立って、多様な児童生徒一人一人の 心を揺さぶりながら、学ぶことの楽しさや学び続けることへの意欲を高める指導法を身に付ける研鑚が大切です。
 とりわけ、ネットワークを活用した最新の情報の提示、教師の勘を超えた科学的なデータの累積に基づく生き 方の指導、そして、カウンセラーとしての技量を駆使する相談的な話し合いなど、皮相的ではない触れ合いが 児童生徒の心を動かすに違いありません。力量を高める努力のない教師に教わることほど、児童生徒にとって、 不幸なことはないと思うとき、是非とも、教科の本質で生徒の心を揺さぶり、授業等の中で驚きと感動を 喚起する関わりを持つことに、教師のプロフェッショナルな意味を見出して欲しいと考えます。教えるものと学ぶものとの間に、高いレベルで人間同士の連帯感が醸成されたときにこそ、児童生徒は、その教師の身近に いることの喜びと至福の瞬間(とき)を感得するのだと思います。

 ところで、教育センターでは、「福島県の児童生徒の学力の到達状況に関する研究−小学校5年・中学校2年の 調査から−」を、平成10年3月に公表しました。児童生徒の学力向上を図るに当たっては、異校種の学力の実態を 的確に把握しながら、小・中・高校の教師が、これまで以上に連携を深め、協調的な体制で確かな学力の向上に 取り組むことが重要であり、これらのデータを有効に活用していただければ大変嬉しく思います。


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