福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -005/042page
藤田(司会) 今、青少年の心の荒れが全国的に問題になっています。そういった中、中央教育審議会は、昨年八月に文部大臣から「幼児期からの心の教育について」の諮問を受けていたわけですが、この三月、報告書をまとめました。その報告書、第4章では、「心を育てる場としての学校」を見直すことを具体的に提言しています。このような状況を踏まえ、教育センター発行の「所報ふくしま『窓』」では、「子どもたちの心が育つ場としての学校」にスポットを当てることにいたしました。年間を通して、子どもたちの心が育つ場としての学校の在り方を「特集」として掲載することにより、各学校の実践を支援することができれば、と考えております。
今回の座談会は、その「特集」の方向づけをしていただくために計画したもので、少・中・高の各学校で直接子どもたちを指導している6名の先生方にお集まりいただくとともに、スクールカウンセラーの経験のある酒井さんにも参加していただき、“心が育つ場としての学校”について、その現状や望ましい在り方について意見を交換していただこうというものです。
なお、文部省、あるいは、教育行政の視点からのご意見もいただきたく、義務教育課から、本年度、生徒指導を担当されている指導主事の星先生に出席いただいております。
この座談会において、学校種を超えた意見交換、立場の違いを超えた意見交換の中から、子どもたちの「心が育つ場としての学校」のあるべき姿や具体的な試みの方向性が見いだされることを期待しています。
さて、はじめに、日頃接しておられる子どもたちの心をめぐる問題に関して、今、どんなことが気がかりでしょうか。遠藤先生、先生は小学校の学級担任をしておられますが、子どもたちのどんなところを心配されていますか。遠藤 子どもたちの様子は、見ていますととても素直だと思います。しかし、現在の学校は8年間勤めていますが、5年6年5年6年と続けて担任してきましたので、子どもたちの心に変化が見えてきたように思います。例えば、話はちゃんと聞くが気力がない、活動的だが自分で考えない、素直なんだがカッとしやすい、判断できない、など。「素直」だが別の面から見るといろいろな問題を感じるようになりました。
例えば、先日、体育館が使えないので隣の空教室を使わせたところ、会議用テーブルの上でなわとびをしているんです。注意したら、「えッ、だめなの。知らなかった。」という声が返ってきたわけです。6年生でもなぜいけないかを教えられてはじめて分かるのですね。また、言われたこと(指示)は素直に聞くが、「先生、次、何やるの?」と、すぐ、教師に聞く、主体性のない、指示待ちの姿が、この頃特に見えるようになってきたと感じています。阿部 基本的に素直な子どもが多いと思いますが、私も現在の学校に8年目で、何か、思いやりの心に欠ける生徒が増えてきているように思われます。例えば、清掃をやらなくても平気でいられる。一生懸命やっている子どももいるの