福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -006/042page

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に、やらないで平気でいられる神経はどうなっているのか。話し合いをして改善を図ってはみるものの、一週間も過ぎると元に戻っています。自分のやっていることが他の人に迷惑をかけていることを何とも思っていないのか、迷惑をかけていると分かっているのだろうか、という思いです。そういう姿勢が係活動にも現れていまして、集団生活の中での規範意識が低くなってきているのではないかと思われてなりません。
 今は夏季ですが、例えば、ワイシャツの裾を高校生の真似をしてか、ズボンから出す生徒も多く見られます。「入れなさい」と言われても素直に「すみません」と言えない子どもが多い。言われていることが素直に入れられない子どもが多くなっています。
 心の面ではないのですが、保健室に毎日50人から、多いと70人とやってきます。ちょっと多すぎるのではないかと思うわけです。本当に身体だけの故障で来ているのだろうか。必ずしもそれだけではない生徒が 多いように思われます。無気力な面も目立ち、心に問題があるのではないか、と思うんです。

  高校は学校間差もあって一概には言えないのだが、日常生活の中で感動できる場面をもてない生徒が増えています。また、今、話がありましたように、規範性や道徳心に欠ける面が見られます。例えば自転車の窃盗やサンダルの無断使用などあります。自分もされて痛い目にあったのでやってはいけない、というのではなく、自分もされたからやる、と言った具合です。
 さらに、集団にとけこめない生徒もいます。この場合、自分だけの価値観にこだわったり、ひとりよがりになりがちで、さらに、主体的に行動できないといった子供もいます。
 このような生徒の多くは、自分自身でものごとを決定するというよりも、親の敷いたレールに乗って高校まで来たと言ったケースがほとんどです。教師サイドからみると一見いい子なのですが、自分の障害を乗り越えられず、親に頼ったり、また、障害から逃避してしますがちです。そして、粘り強く自己を育てようとする意識が低いようです。

迎 裕仁先生 司会  ただ今、少・中・高とお一人ずつお話しいただきましたが、かなり共通するものを感じます。立場はちょっと変わりますが、昨年度までスクールカウンセラーとして子どもたちと接しておられての感想も同じようなものでしょうか。酒井先生。

酒井  中学校でスクールカウンセラーをやって、病院でも何人かの子どもと接していて思うのですが、自分の弱さ、劣っている面を見せられず、自分の理想にそった生活をしようとし過ぎていろんなトラブルにあっている子が目につきます。話をする中で何とかそのギャップを埋めようとするのですが、現実はみえているんだが下げない。自分の理想を下げるくらいなら学校に行かないほうがいい、と考えてしまう。
 あるいはまた、爪先立ちして周囲に合わせ過ぎ、自分を出せず、抑圧が強く、どこかで爆発するのではないだろうかと心配な子がいます。


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