福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.125(H10/1998.11) -035/042page

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次に、自分のカードをもらい、読む。そして、自分のカードをそれぞれ自分の机の上に置き、みんなで他のカードを読んでまわり、同感だと思ったところに○をつけていく。

 (2) 子供たちの感想

感想
 (3) 考察
 カードに書き込む時間を一人について1分と短い時間に決めたことで、自分からよく意見を言うことができた。時折冗談をいう子もいて、班ごとに笑いが絶えなかった。少なく書かれているカードには特にがんぱってたくさん書いてあげるように指示したことで、全員のカードがほぼ同じ量の「いいところ」で埋まった。
 自分のカードを読んでいる時の顔は全員いい顔をしていた。無理に「いいところ」を書いてくれたのではないかという疑心の分を差し引いても、十分納得したいい顔をしていた。
※ 「団結くずし」「カム・オン」は9,10月に体育の準備運動で数回実施。8月の「聖徳太子ゲーム」10月の「クリスマスツリー」は学級活動で実施。これらのエクササイズについての詳細は省略する。

V 研究の成果

【交友関係調査の結果】
8 月 11 月
地位指数 4.014 4.573
被選択数 95 105
被敗斥数 20 22
相互選択数 32 38
相互排斥数 2 2
周辺孤立数 17 13

 構成的グループ・エンカウンターを実施する前の8月と実施後の11月の交友関係調査の結果を比較してみる。被排斥数、相互排斥数はほとんど変わっていない。しかし、地位指数、被選択数、相互選択数は向上し、周辺孤立数は減少している(上表参照)。
 これらの数値の変化は、エクササイズの後に書いた子供たちの感想から読み取れるとおり、構成的グループ・エンカウンターを実施したことで心と心の触れ合いや「本音と本音の交流」を図ることができたからであると考える。
 特に、今回8種類のエクササイズを行ったがその中でも「いいとこさがし」「印象ゲーム」「わたしはわたしよ」の3つのエクササイズでは、だれかに言いたかったが恥ずかしかったり照れくさかったりして言えなかった、そんな子供たちのジレンマを、ゲームという形式で抵抗なく発散することができた。
 インストラクションやシェアリングを丁寧に行うこと、実施過程で教師が適切な声をかけること、子供たちの実態をよく見てエクササイズを選択することなど課題は多い。これらの課題を克服しながら、今後も構成的グループ・エンカウンターを計画的、継続的に実施し、学級全員が相互に認め合う学級をつくっていきたい。


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