福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -034/042page
[2] 『プリントつづり』で振り返ることは授業のつまずきを解決するために有効であったか
『プリントつづり』について調べるとグラフ3のように役に立ったと答えた生徒が86%おり、その半数が『授業で分からない点を調べるとき』と答えた。また、『確認テストのための勉強』や『先生や友達から教えてもらうとき』と答えた生徒もおり、何らかの形で『プリントつづり』を活用したと答えた。実際、授業でつまずいた生徒は次第に『プリントつづり』を開いて自主的に調べるようになった。
[3] 『プリントつづり』を活用した授業は、生徒の2次関数の苦手意識が好転するのに有効であったか
中学校と高等学校での2次関数の理解度を比較すると、『まあまあ理解できた』が飛躍的に増加し、『十分理解できた』と合わせると76%の生徒が理解できたと答えた。その大幅な変化が情意面に影響を及ぼし、2次関数が嫌いと答えた生徒が半減し、好きになった生徒が増加した。(グラフ5)
IV 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
(1) 『支援プリント』と『学習プリント』を活用し、つまずいたときに『プリントつづり』への回帰を繰り返すことは、2次関数の基礎・基本の定着を図るために有効であった。それにより、生徒の授業の理解度が高くなり、取り組みが積極的になった。
(2) 『プリントつづり』を振り返ることには、授業でのつまずきを解消するために有効であった。今回の指導により、自主的に調べようという姿勢が生まれ、学習の仕方も身に付いてきた。
(3) 『プリントつづり』を活用することは、基礎・基本が定着し、つまずきも解消され、授業に前向きに取り組むようになり、2次関数に対する苦手意識が徐々に好転するのに有効であった。
2 今後の課題
(1) 授業でつまずいたときに何の手立てもとれずにいる生徒がいるため、そのような生徒に対する個別的な指導の余地が残されている。
(2) 単元が進み、2次関数の学習が深化した場合に、より生徒が理解しやすい『学習プリント』を作成しなければならない。
(3) 2次関数をもっと深く学習したい生徒がいる状況を踏まえて、2次関数の苦手意識が克服されるような教材の精選と授業展開を検討しなければならない。