福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -004/042page

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特集 新しい教育課題:特色ある学校づくりにいかに取り組むか

総合的な学習のカリキュラム開発とインターネットの活用

日本女子大学教授  吉崎 静夫

日本女子大学教授 吉崎静夫

I 特色ある学校づくりと総合的な学習

1 新教育課程に対する期待と不安

平成14年度からスタートする新教育課程では、「総合的な学習の時間」の新設や選択教科の拡大によって、先行き不透明な21世紀を生きるのに必要な「新しい学力(自ら学び、自ら考え、自ら判断するといった生きる力)」を育てようとしている。

しかし、このような新しい試みも、基礎学力(つまり、「読み書き算」に代表されるような伝統的な学力)の低下を招いたのでは影の薄いものとなる。

したがって、新教育課程を実施する際のポイントは、基礎学力の低下を招かないで、「新しい学力」の育成ができるかどうかにある。そのためには、「教育方法の再検討」や「個に応じた指導の充実」といったことを念頭に置いた授業づくりが求められている。

2 特色ある学校づくりと総合的な学習

学校教育には、「そろえる(共通化)教育」と「ちがえる(差異化)教育」という2つの側面がある。前者は、子どもたちが将来社会生活を営む上で必要となる基礎学力(読み、書き、計算、メディア・リテラシーなど)をすべての子どもに確実に身に付けさせる教育である。そして、後者は、子どもそれぞれの持ち味(得意なこと、好きなこと)を可能な限り伸ばすといった、いわゆる個性化教育である。

このことは、学校のカリキュラムについてもいえる。前者は、学習指導要領という形で国がすべての学校に示している共通カリキュラムである。一方、後者は、各学校が独自のカリキュラムとして開発していくもの(つまり、「学校を基盤とするカリキュラム開発(SBCD)」である。そして、新教育課程では、前述したように、「総合的な学習の時間」の新設、授業の1単位時間の弾力化、小学校中学年(低学年はもちろんのことであるが)以降での合科的指導の推進、中学校の選択履修の幅の拡大など、学校独自のカリキュラムを開発する条件が整ってきている。

したがって、移行期から、それぞれの学校は特色ある学校づくりの一環として、独自のカリキュラムを開発することが必要である。そのとき、総合的な学習のカリキュラム開発はその中核となる。いまや、公立の学校でさえ、親や子どもによって選択される時代である。せっかく与えられた「教育の規制緩和」という好機を無駄にしてはいけない。もちろん、基礎学力を保障するという学校の社会的使命を忘れてはいけないけれども。

(1) 地域の特色を生かした総合的な学習

それぞれの学校が総合的な学習のカリキュラム開発を行うときには、まず地域とのかかわり


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