福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -006/042page
学習の基礎・基本の習得をねらいとしている。具体的には、子どもたちは、豆記者となって、自らの興味・関心にもとづいてテーマを設定し、地場産業の職人や地域のお年寄り、市役所の職員らに取材して、独自の視点でふるさと越谷の町について調査活動を展開している。そして、インタビューする際の「予約の取り方」「質問の仕方」「メモの取り方」「メディア(カメラ、ビデオ、テープレコーダー、コンピュータなど)の使い方」を学んでいる。
この学校は、この単元を総合的な学習のスタートに置くことによって、「総合的な学習の基礎・基本には、情報教育(メディア・リテラシー)があること」と「総合的な学習は、地域から始まること」を強調している。
また、茨城県稲敷郡美浦村立木原小学校は、平成11・12年度文部省指定の教育課程研究校として、表1に示されるような、環境教育を中心とした総合的な学習(「かがやきの時間」とよばれている)のカリキュラム開発と授業づくりを行っている。同校が、環境教育を中核とした理由は、地域に「霞ケ浦」という有名な湖があるからである。そして、その湖は、地域の人々の生活や地域の産業(農業、漁業、工業)にとって不可欠のものである。しかし、近頃は湖の水の汚れが問題になっている。まさに、環境教育にとって恰好の素材である。そして、同校では、霞ケ浦を中心とする環境教育を支える学習として、情報教育(情報活用能力、コンピュータ・リテラシー)と国際理解教育(英語コミュニケーション)を位置付けている。例えば、国際理解の中学年のねらい・活動は「AETとともに活動しながら身近な動植物を題材にした簡単な会話を交わし、外国人と英語で触れ合う楽しさを味わう」であり、高学年のねらい・活動は「地域の自然について調べたことや感じたことを簡単な英語を使って表現し、自分の見方や考え方を外国人に伝える喜びを味わう」である。このように、環境教育と国際理解教育が巧みに連携している。
中学校でも、地域をテーマとする総合的な学習が行われてきた。古くは、長崎大学附属中学校の「和漢蘭(日本・中国・オランダ)」学習がよく知られている。わが国の鎖国時代に出鳥という唯一の「外国に開かれた港」を歴史的にもつ長崎ならではのテーマである。また、最近では、茨城大学附属中学校の「水戸学(水戸を問う)」がある。地域(水戸)を「変えたい」「より良くしたい」「楽しくしたい」といった都市づくりを目的とした総合的な学習である。なお、秋の発表会には、市長を招いて生徒フォーラムが開かれている。
(2) 小学校の英語教育と情報教育
各小学校は、英会話等の英語教育とコンピュータ活用等の情報教育を教育課程の中にどのように位置付け、総合的な学習の中でどのように展開するのかということを、新教育課程への移行段階から検討しておく必要がある。
21世紀を生きる人々にとって、「英語コミュニケーション能力」は必要不可欠のものである。というのも、21世紀はますます世界的規模で人と情報が行き交う「グローバル化社会」となるからである。しかしながら、日本人の英語の読み・書き能力はまずまずとしても、英語を聞く・話す能力はかなり低い。このことは、北米の大学に留学するために、わが国の学生が受験するTOEFLなどの英語試験の成績に顕著にあらわれている。例えば、一昨年の成績は、アジア諸国の中でも最下位水準にある。わが国の中学生や高校生の数学や理科の成績が世界のト