福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -007/042page

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ップ水準にあることを考えると、この英語成績の不振には驚くべきものがある。

この現状を改善するためには、中学校以降の英語教育の抜本的な改革とともに、小学校段階からの英語教育の導入がどうしても必要となる。したがって、英語教育を小学校段階から取り入れることによって国語教育がダメになるといった一部の学者や評論家の意見に惑わされることなく、すべての小学校で英語教育を総合的な学習の中で実践してほしいと思う。

情報教育は、各教科の学習を通して展開されるとともに、総合的な学習の中で積極的に展開されることが期待されている。なお、総合的な学習における情報教育については次節で詳しく述べる。

(3) 教科の学習、選択教科の学習、総合的な学習の相互関係

総合的な学習の新設によって、改めて選択教科の学習のあり方が問われている。そこで、まず、これまでの選択教科の学習がどのような形態で行われてきたのかを検討してみる。

第一の形態は、「単科選択型」である。これは、大多数の中学校がとってきた形態であって、5教科(国語、社会、数学、理科、英語)あるいは4教科(音楽、美術、保健体育、技術・家庭)から1つの教科を選択履修させるものである。もちろん、9教科から1つを選択させる場合もある。どちらにしても、そこでは、必修教科の内容を補充・深化したり、発展させたものを子どもの個人差(興味・関心、得意・不得意)に応じて選択させている。

第二の形態は、「合科選択型」である。これは、複数の教科(多くの場合は、2つの教科)を合わせた課題(ないし講座)を、子ども一人一人の興味・関心にもとづいて選択履修させる形態である。香川大学附属坂出中学校の「合科型自由学習」はこの好例である。なお、同校の10年間の実践研究の成果が単行本となっている(『「合科」からはじまるマニュアル「総合的な学習」成功へのステップ』ぎょうせい)。

第三の形態は、「単科選択と合科選択の併存型」である。これは、「選択教科の学習」として、第一の形態と第二の形態をともにもっている場合である。信州大学附属長野中学校と滋賀大学附属中学校の「選択教科の学習」がこの好例である。例えば、附属長野中学校では、「選択教科の学習」をカルチャータイムと名付けて、教科の発展的な内容や今日的な課題(国際理解、情報、環境、福祉など)について、個人テーマを設定・追求する問題解決型学習であると特徴付けている。なお、総合的な学習はヒューマンタイムと名付けられて、自己の生き方を追求する学習であると位置付けられている。

では、教科の学習(「教科」と略称)、選択教科の学習(「選択」と略称)、総合的な学習(「総合」と略称)は、それぞれどのような特徴をもっているのだろうか。

[1] 教科内容とのかかわりでいえば、「教科」の特徴は学習指導要領に示されている事項や内容(つまり、「基礎・基本」)の習得にあり「選択」の特徴は必修教科の「発展」にある。そして、「総合」の特徴は生活的・社会的課題や自己を見つめる題材への必修教科の「応用」にある。

[2] 学習内容の系統性でいえば、「教科」「選択」「総合」となるのにしたがって、系統性の程度は低くなる。

[3] 教科相互の関連性でいえば、「教科」「選択」「総合」となるのにしたがって、関連性の程度は大きくなる。


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