福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -012/042page
シリーズ
学カ向上のための指導の在り方
〜学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究(中学校2年数学)から〜
教育センター学習指導部
はじめに
教育センターでは、「学力向上」を目指した授業改善に資するため、平成6年度から調査・実践研究を行ってきた。
ここでは、一昨年、昨年と行ってきた実践研究から、「中学校2年数学」について述ぺる。
1 研究の視点
平成9午度に実施した学力到達度調査より、「1次関数」の中領域が低いことが分かった。本研究では、中学2年の「1次関数」を中心としながらも、他の学年の関数領域についても取り上げ、以下の4つの視点で実践した。
ア 図などとの関連によリ、1次関数について理解させる。
イ 対応表・グラフ・式の相互関連を図った指導をする。
ウ 関数指導にコンピュータを活用する。
エ 系統性を踏まえた指導をする。
2 実践研究
(1)「1次関数の指導」について(視点ア・イ)
教科書にある問題を次のように変え、提示した。
ぱねののびは、下げたおもりの重さに比例する。いま、10gのおもりを下げたときのぱねの長さが12cmであり、30gのおもりでは16pであるとする。 初めに、この事象を生徒一人一人が自分なりに把握し、それを図で表現する活動を取り入れた。その活動のあと、全体で確認する時間を設け不足した部分を付け加えた。ここでは、特に、「ぱねの長さ」と「ぱねののぴ」に注目させた。
この図を見ながら、これらの長さとおもりの重さの関係について考えさせた。
「おもりの重さとそのときのぱねの長さ」の関係は、(ぱねの長さ)=(もとのぱねの長さ)+(おもりの重さに比例する長さ(ぱねののび))であることを発見させた。
これにより、xg のおもりを下げたときのぱねの長さをyp として、
y=ax+b (a,bは定数)
と表され、これを1次関数ということを理解させた。次に、この1次関数をいろいろな方法で求めるという課題で展開した。1つの方法で求めたら、別の方法も考えてみるように促した後、それぞれの考えを発表させた。式、グラフ、対応表、図とを比例しながら、それぞれの求め方の違いや特徴について話し合わせた。