福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -011/042page
に接続されるのはもちろんのことであるが、インターネットを活用して情報収集したり、コンピュータで情報を整理し、発信するといった活動をするためには、コンピュータ室にもワークスペースの機能をもたせる必要がある。さらに、学習の成果を発表したり、掲示したりするスペースがあるとさらによい。
最近、学校の図書室が様変わりしつつある。そのもっとも大きな変化は、図書室にコンピュータが置かれるようになったことである。あるいは、図書室に隣接して、コンピュータ室が作られるようになったことである。その結果、子どもたちは、授業中はもちろんのこと、放課後にも、例えば地球温暖化、ダイオキシン、酸性雨、リサイクル、エコロジーといった環境に関することを調べようとするときに、本や事典ばかりでなく、CD−ROMやインターネットで調べることができるようになった。まさに、図書室は、「学習情報センター」や「メディア・センター」として、調べ活動を中心とする学習活動の拠点となりつつある。また、そうならなければならないだろう。さらに、図書室の「ハード面」での充実とともに大事なのは、図書室の「人的側面」での整備である。つまり、図書室での子どもたちの学習を支援してくれる人材の確保が求められる。この点に関していえば、学校図書館法の改正によって、平成15年から、12学級以上の学校には、司書教諭が配置されることになった。そして、学校の図書室が「学習情報センター」としての機能を担っていくためには、司書教諭には「メディア・コーディネーター(メディアの専門家)」としての役割が求められる。もう少し具体的にいえば、「子どもたちの調べ学習への支援と読書指導」「メディア環境の整備(コンピュータの配置とソフトウェアの充実など)」「各教師への情報提供」などの役割が期待されている。
(2) いつでもコンピュータが使える環境
コンピュータ室ばかりでなく、教室や廊下にもコンピュータを分散配置し、校内ネットワークを整備することによって、「調べてみたい!情報を送りたい!」と考えたときに、すぐにインターネットを使える環境作りが必要となる。というのも、総合的な学習では、教科の学習以上に、自由にインターネットを活用できる環境が必要となるからである。
前述した越ヶ谷小学校では、30台のノートパソコンがどの部屋でもインターネットとして使えるようになっている。学校全体に「赤外線を利用したLAN」が整備されているからである。子どもだちは、教室や図書室、あるいは廊下に、ノートパソコンを持ち運びさえすれば、いつでもインターネットを使えることになる。
今後は、コンピュータ室に固定式のパソコンを設置するとともに、ノートパソコンとLAN(赤外線や無線)の組み合わせからなるインターネット環境を考えてみる必要がある。
最後に、『みんなが生き生き総合的な学習―インターネットでひと工夫(700円)』という「先生のためのガイドブック」が日本教育工学振興会(JAPET)から刊行されていることを紹介しておきたい。すべてのぺ一ジがイラストと写真で構成されていて、とてもわかりやすい。Webぺ一ジ(http://www.japet.or.jp/)で注文できる。
吉崎静夫先生のプロフィール 茨城大学人文学部卒業後、昭和53年 九州大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。大阪大学助手、鳴門教育大学助教授を経て、現在日本女子大学人間社会学部教授、学術博士(大阪大学)。文部省「学習指導の改善のための調査研究協カ者会議委員」国際学術雑誌“Teaching and Teacher Education”の編集委員。「授業における教師の意思決定モデルの開発」にて日本教育工学会論文賞受賞。「教師の意思決定と授業研究」(ぎょうせい)「新しい授業をつくる 第3巻 総合的学習の授業づくり」(ぎょうせい)等著書、共著、編著多数