福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -014/042page
とy があり、x の値が2倍、3倍、…になると、それに伴ってy の値も2倍、3倍、…になる。」についてあげさせ板書した。それを基に2つの事象が比例かどうか確かめた。
次に「○○さんが、毎分90mの速さで歩いています。」という事象を提示し、それに伴ってかわる量を見付けさせた。その中から「歩く時間と、それに伴って変わる道のり」に着目し、それが比例かどうかを課題として調べることにした。そして、調べたことを発表し、全員で内容を検討した。
ここで、小学校の比例の式「y=決まった数×x 」を中学校では「y=ax 」で表し、aは比例定数であることを指導した。その後、まとめとして、身のまわりから「y=ax 」となる比例関係を見付け、その比例定数を求める活動を行った。
3 実践をふりかえって
(1)「視点ア・イ」について
具体的な1次関数の事象について、図に表したり、式や対応表、グラフで表現することにより、関数の考え方のもとになる「何が変化すると、それに伴って何が変化するのか」「何と何が対応するのか」ということを押さえることができた。
また、1次関数をいろいろな方法で求めることによって、これらが相互に関連し合っていることも理解させることができた。さらに、x とy の値をグラフに表すことにより、1次関数の式「y=ax+b 」が予測できたり、逆に対応表から変化の割合を見付け「a」や「b」の値を求めたりすることができたことからも効果があったと思われる。事象については、教科書にある教材を活用したが、生徒の実態等を踏まえ、より身近な事象の教材化が望まれる。
(2)「視点ウ」について
コンピュータを活用するよさ、効果について再認識できた。市販のソフトを使用することが多いが、何をねらいに、どの場面で、どのような効果が期待できるのかを、あらかじめ踏まえておくことが必要であろう。
今回の実践は、教師が操作し、プロジェクタにより画面を投影する方法を採ったが、できれば生徒自身が操作することにより、興味・関心を高め、指導の充実を図っていきたい。
(3)「視点エ」について
小学校と中学校、中学校と高等学校の連携ということも配慮して授業を組み立てることにより、それぞれの段階でのつまずきをなくして指導することができ、基礎・基本の定着という点で効果があった。関数の領域に限らず、指導する学習内容の系統性を踏まえ、各段階で抑えるポイントをしっかり押さえることが大切である。また、生徒の実態を把握し、ていねいに指導することが、今後ますます求められる。
詳細については、平成11年度学力到達度調査事業「福島県の児童生徒の学力の到達状況に基づく授業改善の研究」(福島県教育センター平成12年3月)をご覧ください。