福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -001/036page

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福島県教育センター所長 星本文
◇◇◇◇◇ 巻 頭 言 ◇◇◇◇◇
  教育センターの役割を考える
福島県教育センター所長
星  本 文

 

 1971年4月に発足した福島県教育センターは,本年度30年という記念すべき節目の年を迎えた。

 当然のこととして施設・設備の面で経年劣化が生じていることは否定しがたい。従って時代の進展に即応した施設・設備は,よりハイレベルな研修の実現にとっても是非必要である。計画的かつ速やかな対応が求められている。

 しかし,私は,施設・設備の整備もさることながら,学校を取り巻く最近の状況を考えると改めて教育センターの役割を抜本的に検討すべき時期に来ていると強く感じている。周知のように,今や全国の至る所で教育改革が叫ばれている。時代の要請に基づくものであろう。本センターにとっても,その改革に即応した新しい役割を果たすべき責務があるだろうし,期待もされていよう。そこで教育センターの在り方を考える際の視点ともいうべきものを三点あげてみたい。

 一つは,研修システムについて教育センターの果たす役割が現状のままでよいのかということである。本県の教職員の研修は,周知のように「教職員現職教育計画」に基づき実施されている。各研修を有機的かつライフステージに対応するよう実施し,またいわゆる「指導力不足の教員等の研修」などの新しい課題に対応するためには,研修体制の一元化を図るなど,研修システムの再構築を工夫すべきであろう。その場合教育センターとしてこのシステムにどう関わっていくことが望ましいのか検討すべきである。

 次に,教育センターと学校の関係について,教育センターがどのような役割を担うべきなのか,ということである。これまでもソフトウェア情報の提供,学校のインターネット接続に関する支援,さらには研究協力校など,様々な形で連携を図ってきている。教育センターが学校を支援すべき役割は,今後ますます強くなることが推測される。例えば,「教育の情報化推進プラン21」について,教育センターが「うつくしま教育ネットワーク」の拠点の一つとして,その推進に取り組む中で学校から期待されることは,質的にも量的にも増大するのではなかろうか。また,地方分権化の大きな流れの中,学校裁量の分野はますます拡大するであろう。それに対応する形で,例えばカリキュラムセンターとしてタイムリーに必要な情報を学校に提供できなくてはならない。教育委員会と学校との関係がより指導助言の方向に比重を移していくことを考えると,そのための体制作りを人的,物的両面から検討する必要があろう。

 最後に,教育行政施策に関するシンクタンク的な機関としての役割である。今回の教育庁機構改革のねらいの一つは企画機能の充実であるといわれている。教育行政企画機能が十分でないということは以前から指摘されていたことでもあり,今回その充実のための基本的な組織が生まれたことは大変喜ばしいことである。今後は一層の施策の充実が図られると思う。そこで,学力や心の教育など本県の教育課題について施策を進めていくに当たって継続的,基礎的な調査,研究の分野で教育センターが関わりをもつことはどうであろうか。むしろ必要なことではないか。他県の中には既にそのようになっているところもあると聞く。この場合大学との共同研究も視野に入れて考えていくべきと思う。

 今年度,教育センターの在り方を考える所内検討委員会を立ち上げた。教育センターのみでは解決できない問題ではあるが喫緊の課題でもあるので大いに議論を重ねてまいりたい。


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