所報ふくしま 『窓』 2002年2月 第135号-001/036page
◇◇◇◇◇ 巻 頭 言 ◇◇◇◇◇ 本当に必要なもの 福島県教育センター次長 植 田 守「今までと比べると,学校の課題に取り組みやすくなりました。目指す学校像や教育活動についての構想がいろいろ浮かんできます。」とは,ある校長先生の言葉である。この校長先生の意欲的な姿に接し,いろいろと考えさせられることがあった。これまでは,他の学校の取り組みや指導資料等を参考にすることが多かったので,結果的には横並びになってしまう傾向が強かった。
新学習指導要領による教育課程が小中学校では平成14年度より一斉に,高等学校では平成15年度より年次進行でスタートする。児童生徒に「生きる力」をはぐくむことを目指した特色ある学校づくりは,新教育課程の大きな柱である。
教育センターでは,「特色ある学校づくりを進めるために,それぞれの学校で平成13年度に教育課程上で特に配慮・改善したこと」についてセンターにきた県内の小中学校の校長・教頭にアンケート調査を実施した。回答の多かった上位3項目は下記のとおりである。
・ 「総合的な学習の時間」の充実
・ 地域社会との連携
・ 児童生徒の主体性を発揮させる学校行事の見直し3項目ともに重要であり,各学校で取り組まなければならないものである。しかし,学校の特色とは単に他の学校で取り組んでいないことや新しいことを行うことではない。
特色ある学校づくりとは,「各学校が学習指導要領を踏まえ,学校・児童生徒・地域の実態及び解決すべき課題を明確にして,その解決を目指して取り組むことである。」と私は考える。
その際,重要なことは,学校の教育課程の編成に全職員が参加し,十分検討をして必要な取り組みを決定し,実践できる体制づくりにある。同時に,一人一人の児童生徒に基礎的・基本的内容の確実な定着を図ることが大切である。
まとめてみると次のようになる。
・ 今日的な教育課題,自校の課題の把握
・ 解決策・体制の確立
・ 基礎・基本重視の指導の徹底
・ 評価システムの確立
これを進めるにあたっては,教員一人一人の意識改革と自校に最適な方策の徹底がポイントとなる。今回の改訂により,従来以上に教育課程の運用上の弾力化や多様化が図られている。これは,学校の裁量権限の拡大であり,学校の自主性や自律性がこれまで以上に発揮できるようになったということである。このことは,学校の全職員の識見,熱意,実力が今まで以上に問われるようになってきたことを意味する。
以上のことを踏まえながら,私は,この改革期こそ学校の創意工夫が生かせる絶好の機会と考えたい。
社会全体が厳しい結果責任を問われる時代になってきた。学校も教育についての説明責任を果たさなければならないし,外部の評価にも堪え得るものが求められる。
そのためにも,これまでの教育活動を見直し,目の前の児童生徒のために何が必要かをもう一度考え,「本当に必要なこと」に取り組むのが,私たち教員の本来の仕事である。
児童生徒に,学ぶ喜びと確かな学力をはぐくむことに全力で取り組むことが,結果的に特色ある学校づくりになる。