自然観察ガイドブック曰山の自然 -002/031page
2 曰山の植物 [馬立場] 放牧場が群れをなした所はシバ 原となる。そのシバ原は現在も残っている。なく、火入れや刈り取りで維持されるススキ 草地であった。阿武隈山地でも、三春駒の名 に残るように、馬産は盛んであった。特に、 なだらかな準平原の地形は放牧に適しており これが盛んに行われた。放牧馬は、風通しの よい小高いところに群れをつくる。このよう な所は過放牧の状態になるから、ススキは、 より再生産能力の高いシバとおきかわる。馬 立場と呼ばれるこの特殊な立場には、山中に あってあたかも都市公園をおもわせるような 緑の芝生が拡がっていたのである。
これら薪炭林と草地の経営は、おそらく千 年ほどにもわたって営々として続けられて来 たものであろう。 しかし、ここ20〜30年の 間に日本経済は、めまぐるしく変化し、それ に伴ってこれらの仕事は急速に衰微し、今は
[古い薪炭林] 標高700〜800m以上ではミズナラが多く、以下ではコナラが多い。