郡山市立美術館所蔵作品 自然とともに〜華麗なるイギリス近代美術の流れ〜 (1/3)

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イギリス美術の基礎
時間: 2分12秒
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体が浮いているが如く、軽やかに赤い衣服を纏った女性は花の種を蒔いています。夢の世界へと私たちを誘う彼女は、ローマ神話の花の女神、フローラです。ルネサンス以降のイギリスには16〜17世紀にドイツやフランドルから画家がやって来きました。彼らは宮廷画家として貴族の肖像画を描き、イギリス美術の基礎を築きました。
ウィリアム・ボーガース
時間: 1分50秒
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そのような宮廷中心の芸術が栄えていた中、やがて肖像画はもとより一般庶民の生活を描いた画家がでてきます。ウィリアム・ホーガース。彼こそがイギリス美術を確立した最初のイギリスの画家である、といえます。モデルになっているサミュル・マーティンは、ホーガースの終生の友人でした。きりりと閉じられた口、しっかりと前を見据えた目。親友の聡明さと、堅実な人柄を捉えた堂々たる肖像画です。ホーガースが活躍したのは18世紀、世界を牛耳っていたイギリスに産業革命が今まさに起こらんとする時期でした。彼は力を持ち始めていた快活な庶民や、没落間際の貴族社会を、庶民でも買うことの出来る版画にもあらわしました。
レイノルズ
時間: 1分15秒
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ホーガースの晩年、イギリス美術の中心にいたのはレイノルズです。レイノルズはイギリスの最初の公的芸術機関であるロイヤルアカデミーの初代会長でした。モデルのジェーンは当時20歳。若い娘から成熟した女性へと変貌する時期の、女性として最も輝いていた姿を描き出されています。この作品は、彼の最も脂の乗っていたと時代のもので、当時彼のアトリエの前には肖像画を描いてもらおうとする紳士・淑女が長蛇の列を作っていたと言われています。

ゲインズボロ
時間: 1分53秒
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そのレイノルズの生涯の好敵手であったのがゲインズボロです。イギリスの温泉地で有名なバースという街で肖像画家として名声を得た彼は、時代の寵児としてレイノルズと人気をニ分しました。オース婦人の服は素早いタッチで描かれて、距離をおいてみると、その飾りなどがしっかりとした形を持って現れてきます。非常に細い線で描かれた髪の毛は、絹糸のように繊細です。またゲインズボロは、実は風景画も得意としていました。彼は肖像画はお金のために、風景画は楽しみのために描く、と言っていました。生前、彼の肖像画は飛ぶように売れましたが、風景画はアトリエに山積みになっていたと言われています。ですが、重厚な彼の風景画が、後のイギリス風景画家に与えた影響は計り知れません。
リチャード・ウィルソン
時間: 1分14秒
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ターナー、コンスタブルといった二人の天才風景画家とを生んだイギリス。17〜18世紀、つまり初期のイギリス風景画は、ローマで活躍したクロード・ロランとガスパール・プサッサなどの影響下にありました。それは実際の風景を理想的に再構成して、古代の神殿、聖書や神話にまつわる人物などを登場させ、そこにドラマを演出するといったものでした。イギリス風景画の父と呼ばれるウィルソンのこの作品は、その典型的なものです。そして此処にターナーとコンスタブルが生まれ、イギリス美術は頂点を極める事になります。
ターナー
時間: 2分36秒
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ターナーは輝く光の中に形を溶け込ませ、現代美術に通じる抽象画の域にまで達しています。この作品は彼の画業の中でも初期にあたります。画面中央を真横に切った大胆な構図により非常に重厚な自然が描かれています。黄色を基調とした色使いや、流れるような筆使いは、既に晩年の朦朧とした作風を予見させます。雄大な自然とそこに生ける人間と。それはターナーが生涯を通じて貫いたテーマでした。コンスタブルはそれまでの褐色懸かった色彩の風景画を否定し、実際に見える自然とはそんな固定された色彩で捉えられるべきではなく、無限の色彩をもっているのだと作品によって主張しました。彼の自然に対する敬虔な態度と鋭い洞察力とは、フランスのバルビゾン派や印象派の画家たちへ大きな影響を及ぼすことになります。

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