クリスタルガラスの旋律 佐藤潤四郎の世界(2/2)

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神々たちのララバイ
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薬師寺の仕事は、晩年の潤四郎に一つの愛すべきキャラクターを与えた。仏足跡である。潤四郎は、本来西洋的な素材であるガラスに、東洋的なモチーフである仏足を見事に調和させている。この黄色い仏足跡は、原子力発電所などで用いられる特殊なガラスが使われている。その表面に、細かい砂の粒子を圧縮空気で吹き付け模様を刻む、サンドブラストの技法で作られた、潤四郎晩年の名作である。この作品は、裏側にサンドブラストで刻まれた模様を透過させて、こちら側から鑑賞する。ガラスという素材の最大の特色である、透過性を生かした作品である。
仏足跡
時間: 40秒
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潤四郎は、陶器や石でも仏足跡を作っている。その中の一点、「陶器で仏足跡2」。この作品を良く見ると、人の顔に見えてくる。即ち、仏足の指が髪の毛、魚の模様が両目、踵の如意輪がほっぺ。そして、両踵の間に草の模様でおちょぼ口をあらわしている。潤四郎、一流のユーモアである。
ガラスの神様
時間: 45秒
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さて、潤四郎特有のキャラクターにはもう一つ、宗教的なキャラクターがある。ガラスの神様である。ギリシャ神話の牧神のようでもあり、東洋の阿弥陀来迎図などに見られるウンチュウブツのようでもある。だが、ガラス製作について少しでも知識のある人には、その直接的なモデルがなんであるかすぐにお分かりだろう。そう、吹き竿でガラスを吹いているガラス職人の姿なのである。

永遠に響き渡る
時間: 2分19秒
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一つのガラス工芸作品が完成するまでには、数多くの職人の手を経ることになる。釜を管理するウツボ職人に始まり、タマトリ職人、吹き職人、カット、グラビウル、サンドブラストなどの加飾をする職人。そして、吹き竿、ポンテ、金鋏などの様々な工具類。潤四郎は、彼ら職人と工具や釜に対し、並々ならぬ感謝の念を抱いていた。それはまさに、信仰に近いものであったと言う。自らのデザイン、アイデアを胸に彼ら職人を指揮し、あまたの工具を駆使し、一つの作品を作り上げていくのがガラス作家といわれる、潤四郎たちの仕事である。それは、オーケストラのコンダクターに似ている。名コンダクター、佐藤潤四郎はいつも演奏者や楽器である職人や工具に感謝の気持ちをこめてタクトを振るった。そしてその作品はやさしく、温かい至上の旋律となって聴衆である私たちの胸に永遠に響き渡るのである。    

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