国蝶・オオムラサキがすむ里山鮫川村(1/4)

[目次] [次]
オオムラサキが好む自然
時間: 2分57秒
mpeg1
real
10.4MB
mpeg1
28.9MB
mpeg2
133.4MB
福島県東白川郡鮫川村。季節は梅雨明け間近の7月中旬。この日、役場前に設置された飼育舎で、国蝶、オオムラサキの観察会が開かれました。さなぎの抜け殻がないかな?抜け殻かさなぎ。みんなでね、探してください。爺ちゃんの手に捕まって暴れてるよ。はい。あのー、羽化する前のさなぎがあります。これ。わかる?ほら、葉っぱそっくりでしょ?ちょっとね、かるーく、ちょっと……村の子どもは勿論、他の市町村からも虫好きの親子が参加しました。日本の国蝶オオムラサキはその名の通り、日本を代表する蝶。大型でその紫色に輝く羽は誰もが認める美しさです。このオスに対して、メスは羽全体が焦げ茶色をしています。本来、オオムラサキは、一部を除く日本全国に生息し、クヌギ、コナラ、エノキなどの多い里山をすみかにしています。鮫川村では、年に数回、このような観察会を開きながら、村全体でオオムラサキの住める環境作りに取り組んでいます。鮫川村の恵まれた自然は、オオムラサキの保護に最も適した環境なのです。鮫川村は阿武隈高原の南側、標高450メートル前後にある村です。村全体の七割が山と森林に覆われています。しかし、その中には渓谷や広々とした緑の大地が広がり、季節によって様々な表情を見せてくれます。その他、鮫川村は、県内有数の昆虫王国でもあり、オオムラサキはその代表といえます。これからご覧いただくのは鮫川村の豊かな自然を背景に育つ国蝶オオムラサキの成長記録と、オオムラサキの成長と共に美しく変わる鮫川村の四季の様子です。オオムラサキが好む自然、選んだ環境は、ここ、鮫川村にありました。
オオムラサキの一生
時間: 2分28秒
mpeg1
real
8.7MB
mpeg1
24.2MB
mpeg2
111.7MB
8月。8月は鮫川村にとって、一番自然が輝く季節。さわやかな風を感じさせる青。深く透き通った緑。人も自然も汚れを感じさせない白。どの風景をとってもこの三色のコントラストが、絶妙な安心感を与えてくれます。夏の鮫川村は、昆虫たちにとっても最高の季節。姿形は違えども、おのおのがそれぞれの短い夏を過ごします。ヤブキリの脱皮です。こうして脱皮を繰り返し、成長していきます。夏はこうした昆虫たちの成長を促すと同時に、子孫繁栄、産卵の季節でもあります。アシナガバチがせっせと巣作りを始めていました。そのかたわらでオオムラサキも産卵を始めます。オオムラサキの産卵は7月下旬から8月上旬。一度に産む卵の数は70個ほど。これを何度か繰り返します。今回産卵した場所は、オオムラサキのために用意したエノキ畑。エノキは従来、人里近くの雑木林に多く見られる広葉樹。オオムラサキの幼虫は、このエノキの葉しか食べません。ここからオオムラサキの一生が始まります。
37835
時間: 59秒
mpeg1
real
3.3MB
mpeg1
9.7MB
mpeg2
44.6MB
7月の下旬に産み付けられたと思われる卵を見つけました。孵化直前です。孵化するまでの期間は、天気が良ければおよそ10日間。この卵は、明日、孵化する予定です。標高700メートルにある鹿角平天文台です。ここからは360度の天体観測が可能です。夏の夜、虫の声を聞きながら見る大宇宙。この時期、こういった観測希望者が後を絶ちません。

37836
時間: 2分09秒
mpeg1
real
7.5MB
mpeg1
21.1MB
mpeg2
97.3MB
翌朝、昨日の卵が孵っていました。オオムラサキの幼虫の孵化です。孵化した幼虫の最初の仕事は、自分の入っていた卵の殻を食べること。この殻には幼虫がこれから育っていくまでに必要な栄養がいっぱいはいっています。殻を食べ終わった幼虫は自分の落ち着く場所を求めて移動を始めます。イモムシ隊の大行進です。孵化直後の体長はおよそ4ミリ。孵化した幼虫が一回目の脱皮を終えるまでの期間を1令と呼び、この期間の幼虫は1令幼虫と呼ばれます。今、手前の卵から幼虫が孵化しようとしています。卵の中の幼虫は、上の部分をかじって穴を開け、そこから徐々にかじっては休み、かじっては休み、自分の頭が楽に出るようになるまで時間をかけて広げていきます。こうして、4、5時間かけて孵化を終えます。こんなに小さくても、ちゃんと自分の意志を持ち、これから一人で生きていくための旅に出ます。しかし、この時期まだ小さい幼虫はアリなどの天敵に見つかると、簡単に捕まえられてしまいます。オオムラサキの一生は天敵との戦いの連続。一匹のメスから生まれたおよそ400個の卵から成虫になれるのはわずか2、3匹。
37856
時間: 55秒
mpeg1
real
3.2MB
mpeg1
9.1MB
mpeg2
41.8MB
8月下旬、鮫川村に秋の気配が訪れました。エノキ畑の幼虫をのぞいてみました。いました。脱皮を終えて、3令幼虫になっていました。オオムラサキの幼虫はこのように緑色で、二本の角を持ちます。この角は天敵と戦う武器だと考えられています。
9月
時間: 39秒
mpeg1
real
2.3MB
mpeg1
6.4MB
mpeg2
29.6MB
9月。実りの季節。鮫川村のあちこちで、秋の収穫です。孵化から2ヶ月。幼虫は脱皮を繰り返し、4令幼虫になっていました。このころから、オオムラサキを始め、タテハチョウの仲間独特の頭の形、顔が目立つようになってきます。この愛らしい顔つき。まるでアニメのキャラクターのようにも見えます。このころの幼虫は、美味しそうな葉を求め、居心地のいい場所を求め、活発に動き回ります。居心地のいい葉を見つけると、糸を吐いて台座と呼ばれる居場所を作ります。台座にしっかりと捕まっていれば、風が吹いても大丈夫。台座を作った葉は食べずに、台座から離れた葉を食べに出かけていきます。そのとき、口から糸を吐いて、行き帰りはその糸を辿って元の台座に戻ります。動き回るのは、天敵に見つかりにくい、朝早い時間と夕方です。あら、失礼。

もどる

掲載情報の著作権は鮫川村、福島クリエーティブ(株)に帰属します。
鮫川村、福島クリエーティブ(株)の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。