川俣町の文化財 -001/029page

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庚 中 森 住 居 跡

〔所在地〕 川俣町小綱木字糠塚11番地

 花塚山西麓の小綱木字後沢周辺は,縄文時代遺跡の集中した地域である。古くから知られた大日平遺跡を中核として,荒沢,関場山,五木内,所久保,糠塚,後沢,油畑の遺跡が相連なり,縄文時代中期から晩期にかけての後沢遺跡群が構成されている。

小綱木字糠塚地域
小綱木字糠塚地域

 後沢遺跡群の南西に位置する糠塚遺跡内に庚申森住居跡があり,昭和36年6月に発掘調査された。住居跡は柱穴が確認されていないのでプランは明らかでないが,経約0.6mのほぼ正方形をした石組炉と,2個の土器埋設炉の石囲いが一線上に並ぶ複式炉,および炉の周囲に花崗岩の敷石が確認された。石組炉には大量の灰と木炭が堆積し,石は高熱を受けており炉に使用されたことが認められた。石組炉の南1m地点から埋設土器が出土している。炉に用いられた埋設土器は,深鉢型土器の胴部と口縁部を欠いた甕型土器が用いられ,斜縄文と隆起線,沈線で区画された磨消縄文が施された中期末期の大木10式期と考えられる。

一直線に並んだ石組炉,土器埋設炉と敷石(庚申森住居跡)
一直線に並んだ石組炉,土器埋設炉と敷石(庚申森住居跡)

 細越遺跡(大字鶴沢字細越)も,土器埋設炉2個と石組炉をセットした複式炉を持つ堅穴住居跡である。複式炉を持つ住居跡は,縄文時代中期末葉に福島 県内を中心に発展した。そのなかで庚申森住居跡は,敷石を附随した数少い遺構として貴重な存在である。

 川俣の縄文遺跡は,県北地方で最古の土器である「日計式」押型文土器を出土した北ノ俣遺


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