月舘町伝承民話集 -008/200page
傷を癒したかった そして 再び銃を執って 戦友と共に戦列に加わろうと思った 秋の小雨にぬれた野花が 山道に一ばい咲いていた 然し彼は自分で 思っている以上の重傷だった 多量の出血が からだ中を硬くさせた― 思う様に足が進まない 彼は這う様にして山道を辿って 遠くの丘の上に かすかに浮かぶ灯を見つけた…… 彼は根限りの力を出して その灯のもれる農家に辿りついた そして助けを求めた