月舘町伝承民話集 -009/200page
老夫婦には何もわからなかった その間 僅か2,30分の 時が流れた 老夫婦のやさしい労りのうちに 彼の生命が 静かに消えて行った― 老夫婦は彼のむくろに縋って 声を上げて泣いた 余りにも痛ましい死……… 余りにも哀れな臨終………だった 農家のまわりの草むらからは 名もない秋の虫が 彼の死を悼むように 悲しく切なく啼いていた― やがて 老夫婦は