月舘町伝承民話集 -035/200page

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盗人道と明神様

 昔このあたりの山には大きい木が茂っていて、昼な おくらいところが多かった。そしてその山と山を縫う ように細い道が通っていて、雨の日や雪の日の通行は とても困難をきわめていた。相馬から福島への道は、 何本も通っていたが余り広い道はなかった。ただ馬を 引いて歩ける位の道は大道とでもいう位で、旅の安全 を祈るために到るところに観音様や地蔵様などが建て られ、旅人はそこに留っておさい銭を投げながら拝ん だり、連れ人を待って休んだりしていた。今から約二 百年前の天明年間には、この地方は大凶作で米も実ら ず、畑の作物も普通の年の半分もとれなかった。そこ で、生活に困って夜ひそかに村を逃げ出す人も多かっ た。そのころ相馬地方は伊達地方と違って田も多く米 の収獲も多いし気候も良いので割合に伊達地方よりは くらしがらくであった。布川入の岫部落から笹田に越

よその米俵をかすめてそれをかついでいる若者


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