月舘町伝承民話集 -040/200page

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二ッ玉で殺された犬飼嘉作

 布川犬飼地区の共同墓地に大湖滴水ぎ彫られた石碑が現存している。この石碑の主は犬飼小僧とか、犬飼 の嘉作で広く親しみを持って、語り継がれている。不思議な話とユーモアを含む生き方と術策を持って殺された人であると伝えられている。

 この犬飼寡作という人は犬飼に生まれた人だともいわれ、若い時仰向きに寝ている中に家の屋根裏の棟木にマツ黒になった菰包みを見つけ、この菰包みを下して中の書類を懐中に飄然と家を出た人であった。十数 年の後、家に帰った時から話題がふり蒔かれたともいい、またどこの生れだか、何時代なのかもハッキリしていないともいわれている。

 これほどの話題になっても誰一人として、架空の人だったといった者もなく、また幻術使いかと思われる がキリシタンではないという事もハッキリ言われている。また一方では、ニッ玉で殺したのは嘉作の兄が世間に 害毒を流すことを恐れてニッ玉で殺したのだという説も流れて居る。何れがほんとうか、嘘かは別として実在 の人だった事はだれもが認めているのである。

 こんな話がある。

1、犬飼嘉作さァが久し振りに帰って来た。家に帰る途中の通路で、田の草取りで一服していた幼な友だちに逢った。「ヤア嘉作さァか。久し振りだったが今迄どこにも便りもよこさネーでどこさいって来たんだい。」「イヤ皆さん、御無沙汰してしまったがJ皆さん変りなくて御目出度う御座います。」「久し振りだなあ。嘉作さあ


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