月舘町伝承民話集 -050/200page

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風邪引き地蔵

 下手渡字町の北端、作ノ内に通ずるわかれ道の傍ら に、約二尺ばかりの地蔵様が立っている。この地蔵様 は子供の風邪引きに霊験あらたかだというので、村内 はもとより近郷近在から信者が集って来て、祈願する 人々が後をたたない。保原・川俣間の県道筋にあるの でバスに乗って注意して窓の外をのぞくと縄で縛ら れた地蔵様がすぐ目につく。里びとの話によると、今 から二百年前の昔、この下手渡に居酒屋があって、豪農として沢山の雇人を抱えて、立派な生活を営んでい た家があった。

 そのころ、仙台あたりから赤ん坊を持つ若い女の人 が事情があって、年期奉公としてその家に働いていた。 ある年のさつきの頃、その居酒屋の主人が下女に向っ て「根廻の一反歩の田を今日中に田植を終えたら、お 前の年期奉公をゆるしてやる。」といった。すると、下

風邪引き地蔵の挿絵


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