月舘町伝承民話集 -081/200page

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布川の伝説あれこれ

 むかしから布川村(滝沢村といった頃もある)には、まつわる数多くの伝説があるが、これはその1、2例である。

(1)宣撫沢の由来

 布川御前堂の川向いに、小さな谷間になっている窪地がある。これは宣撫沢(せんぶざわ)または千本沢といわれてきて いる。ここは昔から非常にさびしいところで、夜な夜なあやしげな妖怪が出没し、いつも里人を苦しめるの で里人は恐れおののき、昼でさえ近づく者がなかったという。
ある日、この里人の難渋を知った一人の旅の高僧がやってきて、いく日かにわたりありがたい「宣撫(せんぶ)」のお経を施したところ、霊験たちどころに現われ、さしもの妖怪も以後プッツリとその姿を現わさなくなったという。里人はこのありがたい宣撫のお経からとって、ここを「宣撫沢」と呼んでいる。

(2)千本沢の由来

 小手姫さまがその娘錦代皇女(にしきでのおうじょ)を伴ない、息子である蜂子皇子(はちこのおうじ)を探し求めてはるばるこの地布川にこられ、 ここで機織の業を広められておられた。ところが錦代(にしきで)姫の美しさに魅せられた、近郷近在の若者たちが姫の 意を得んものと寄り集り申し入れをした。
 姫はこのとき使いの若者に「毎夜、宣撫沢に錦木を1本づつ立て、2年9カ月で千本をたてることのでき


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