月舘町伝承民話集 -092/200page
猫が婆さんに恩をかえす
ある一人の婆さんが山の中で猫とくらしていたんだどぉ。ところが婆さんも年をとって、もう働らけなく なって、どっと床につくようになったんだどぉ。そうすると猫は婆さんの枕もとにきて悲しそうにないては、 はなれなかったんだどぉ。婆さんはその様子をみて
「これ猫や、わしもお前をここまで育ててきたが、もう 床につくようになってお前を飼うことができなくなったぞ。」といいきかせたんだどぉ。
猫はその言葉をきく と、こっそり見えなくなってしまったどぉ。それから間もなく一人の17、8のきれいな娘が、毎晩たもとの着物を着、 からころとげたの音をさせながら、三味線をひき、かどつけの踊りを踊って歩くようになったんだどぉ。そ れが評判になり、猫踊りがついにみやこにまで聞えていって、舞台にでて猫踊りをしたり、一本の綱の上を 傘さして高げたをはいて踊ってゆくまでになったんだどぉ。その演技のうまさに毎日大入満員、お金がうん と娘(猫)のもとに届けられ、お陰で山の中のお婆さんはそのあと何不自由なく、猫とくらしたんだどぉ。