月舘町伝承民話集 -093/200page

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狐の執念におどろく

 春になって、豊作じいさんは田んぼの苗代づくりを はじめたんだどぉ。むかしだから通し苗代で、今の短 冊型とちがって幅ひろい苗代に足あとをつけて、種も みをまいたもんだ。
ところが近くのほら穴に狐が子を 生んだんだどぉ。子狐にくわせるえさに困ってたあげ く、蛙を追っかけまわし、夜な夜な苗をふんごねる。怒 った豊作じいさんは、親狐のいないときをねらってほ ら穴にはいっていったんだどぉ。そして子狐をみな殺 しにして藤つるでつるして狐の出入口においたどぉ。
晩がきて豊作じいさんはふと目をさましたどぉ。戸口 で何か音がする。とんとんと戸をたたくと、次は板戸 に何かすりつける。豊作じいさんはとっさに思ったん だどぉ。女中のおすいが裏二階に寝ていたが、男が忍 んできたのかとなあ。そこでこっそり二階の雨戸を開 けてみると、おぼろ夜に戸口のおもてに何か黒いもの

親狐がしっぽで戸をたたいているところ


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