月舘町伝承民話集 -096/200page

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ばか婿のはなし ロ

 秋がきてばか婿の家でも粟がたんととれたんだどぉ。それで夫婦はよろこんで実のはいった栗をとっつぁは刈って軒場に干し、そのあとふりうち棒でたたいて、箕で吹きだしたんだどぉ。ばか婿は
「とれたぞい、 とれたぞい。」
と大声で家のなかで糸とりをしているおっかあのところへとんでいったんだどぉ。それからつづ けさまにこういってきいたんだどぉ。
「おっかあ、なんぼとれたべなあ、うすに八升、箕に八升、ななます、 八ます、ここのます、十ます。なんぼになるべいなあ」
おっかあは、糸とりをやめて胸算用をしたと思うと
「おとっつぁ、五斗だべい。」
 ばか婿は妻の勘のよさにあきれてしまったんだどぉ

ばか婿のはなし ハ

 みなみやまのばか婿は、しゅうとの家によばれてゆくことになったんだどぉ。そこでしゅうとのところで 手落ちなくふるまうようにと、妻はあれこれ行く前にいい聞かせたんだどぉ。その一つに、まんまを食った あと湯をのむときは、あつかったらたくあんを二きれ お椀に入れてかきまわし、さめてから飲っめといった んだどぉ。そこでばか婿は支度してしゅうとの家へ行って、まず風呂に入ることになったんだどぉ。入ったら あつかったので、大声で
「長いたくあんもってこい、長いたくあんもってこい」と呼んだどぉ。
もってきた たくあんのしっぽの方で湯をかきまわして
「ああいい湯になった。ああいい湯になった」 とたくあんをかじり ながら首をちぢめてひたっていたどぉ。

ばか婿のはなし ニ

 むかし、みなみやまにばか婿がいたんだどぉ。あるときしゅうとによばれて行くことになったんだどぉ。


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