月舘町伝承民話集 -098/200page
向うに体が丈夫で気立てのやさしい娘がおったどぉ。それでばか婿にこの娘さんがよかろうということにな って、早速ご指南がやってきて、見合いということになったんだどぉ。それでばか息子の母親は、おちどのな いようにといろいろかたり聞かせたどぉ。
「まずなあ息子、ごちそうのことでなあ、だんごがでたら一口にほ おばるもんでねえ。わかったかえ」
ばか息子は「おっかあ、よく承知した。そうすべい。」
そして支度をしてご 指南につき添われて見合いに娘の家に出かけだんだどぉ。案の定、娘の家ではだんごをたくさんふるまってく れた。ばか息子はそれでいわれた通り一つほおばることでねえと思って二つを一度に口に入れ、のどにひっかけるばかりうめい、うめいと食ったんだどぉ。ばか婿のはなし ト
みなみやまのばか婿があるとき、しゅうとのところへよばれて行ったどぉ。なにをよばれるか腹も空いて いるし、心待ちにごちそうを待ったどぉ。そしたらうすもちがでて、あんもちやら、くるみもち。舌鼓を打 って何杯かお代わりをして腹いっぱいたらふくになったとき、給仕の娘にそうっといったどぉ。
「はじめのあんもちのようなうまいお代わりをくれ。」となあ。ばか婿のはなし チ
ばか婿が嫁とりしたばかりのころ、ひとりでしゅうとのところに行くことになったんだどぉ。初めての ことではあるし、小道がいくつにもわかれて山に入るので、迷ったら家へもどれなくなるほどたったんだど ぉ。そこで
「おっかあ、どうすべいおらひとりでゆけねえ。」
といいだしたんだどぉ。すると母親は
「息子よ 一ついいこと考えた。もみぬかを袋に入れて持ってゆけ。それを少しづつ小道にまいてゆくのじゃ。もどり