月舘町伝承民話集 -100/200page

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ばか殿様と部落の人のはなし

ばか殿様と部落の人のはなし イ

 むかしむかし、みなみやまの部落の者たちは、殿さまのとりたてがきびしくて困りきっておったどぉ。み なの衆は庄屋のところに集まって、どうしたらよかんべいかと相談したんだどぉ。そしてものはためしで、 殿さまを困らしてやろうとたけのこ汁をごちそうしてやることにしたんだどぉ。殿さまは百姓どもがどんな ものを食べさせるのかと、わずかのともをつれてやってきたんだどぉ。さて昼めしどきになってたけのこ汁 がはこばれてきたが、部落の者たちには、やわらかい筍。殿さまの椀のなかには、青竹をこまかく切ったも のをと区別したんだどぉ。殿さまが見ていると、部落の者はそれをうまそうに食べていて、殿さまも真似て 食べたどぉ。だが固くて歯がたたず、ほうほうの体でお城へ逃げ帰って
「あやつめたちの知恵にはかなわぬ わい。」ととりたてをづっと軽くしてくれたどぉ。

ばか殿様と部落民のはなし ロ

 むかしむかし、ばか殿さまが、みなみやまの部落によばれて行ったんだどぉ。そしてかわやにもようした くなった。さて用がすんだあと大声で手水を出せと部落のものにいいつけたんだどぉ。そうしたら頭の長い ものどもがやってきて、首をふりふり殿さまのところへかしこまったんだどぉ。手水が長頭と早合点したの である。殿さまはさすがに感心して、たいそうおほめのことばを頂戴したんだどぉ。


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